廷臣八十八卿列参事件

廷臣八十八卿列参事件

廷臣八十八卿列参事件（ていしんはちじゅうはちきょう れっさんじけん）は、1858年（安政5年）に発生した、日米修好通商条約締結の勅許を巡る公家による抗議行動です。

経緯

条約締結にあたり、幕府は朝廷の勅許を得ようとしましたが、これは水戸藩を中心とする攘夷論を抑える目的がありました。老中・堀田正睦が参内し勅許を得ようとしましたが、安政5年3月12日（1858年4月25日）、関白・九条尚忠が条約の議案を朝廷に提出したところ、岩倉具視や中山忠能ら堂上公家88名が条約案の撤回を求めて座り込み抗議を行いました。さらに、官務・壬生輔世と出納・平田職修から、地下官人97名による条約案撤回を求める意見書が提出されました。

孝明天皇は条約締結に反対の立場を明確にし、3月20日には参内した堀田正睦に対し、勅許はできないと伝えました。これにより、幕府は条約の勅許を得ることができなくなりました。責任を取る形で堀田正睦は老中を辞職、九条尚忠も内覧職権を一時停止されました。幕府は井伊直弼の主導のもと、抗議を行った88名の処罰に乗り出し、公家側から多数の処罰者が出ました。

歴史的背景と意義

江戸時代の公家社会は、禁中並公家諸法度によって幕府の統制下に置かれていました。京都所司代が派遣され、公家社会を監視・統制していました。経済的にも、五摂家や武家伝奏などのごく一部を除き、多くの公家は内職をしなければ生活が成り立たないほど困窮していました。

条約の勅許を打診されたことをきっかけに、中・下級の公家たちの幕府に対する不満が噴出しました。彼らの抗議活動は勅許を阻止し、幕府の権威を失墜させる結果となりました。この事件以降、朝廷が幕末の政治において重要な役割を果たす契機となりました。

八十八卿

本事件に関与した廷臣八十八卿は多数に及びます。名称に「八十八卿」とありますが、公卿の最低条件である従三位または参議ではない公家も含まれています。

名前の一覧は省略します(Category:廷臣八十八卿を参照してください)

関連項目

* 廷臣二十二卿列参事件

もう一度検索