建徳

建徳（けんとく）

建徳は日本の南北朝時代の元号であり、南朝方において用いられました。この元号は、正平の後、文中の前にあたる期間、具体的には1370年から1372年までを指します。建徳の時代には、南朝の天皇が長慶天皇であり、北朝には後光厳天皇と後円融天皇が君臨していました。室町幕府の将軍は足利義満の時代です。

改元の背景

建徳の元号は、1370年7月24日（ユリウス暦で言うと同年8月16日）に長慶天皇の即位に伴って改元が行われたことに由来しています。さらに、この元号は1372年4月1日（同年5月4日）に文中に改元されたとされています。改元に関する正確な出典は『文選』の「建至徳以業洪業」に見られますが、勘申者は不明です。

建徳年間の主な出来事

建徳の元号の期間中に発生した出来事は、南朝に関連するものに限られます。また、各年ごとの重要な出来事を以下にまとめます。

元年（1370年）

• - 11月：和田正武が河内東条城の楠木正儀に対して再三にわたり攻撃を仕掛けました。

2年（1371年）

• - 2月：二条教頼家を中心に『三百番歌合』が行われ、このイベントは当時の文化的な交流を示しています。
• - 5月8日：細川頼基が南朝を攻撃するため、大規模な軍を率いて河内へ出陣しました。
• - 8月13日：南朝が四条隆俊と和田正武を派遣し、楠木正儀の攻撃を行いました。
• - 10月14日：征西府の使者が明に到達し、懐良親王が日本国王として封ぜられる出来事がありました。これは、当時の国際関係を反映した重要な事件です。
• - 12月19日：九州探題の今川貞世が周防から豊前門司に進撃し、赤坂に陣を構えました。

3年（1372年）

• - 2月13日：菊池武政が肥前烏帽子岳で今川仲秋を襲撃しましたが、敗北を喫します。
• - 3月：伊勢国の北畠氏が守護の仁木義長を破り、朝明郡一帯を占拠するに至りました。

建徳の時代は、南北朝の争いが続く中での政治的および軍事的な動きが強調されている時期であり、日本の歴史の中で特異な意味を持ちます。南朝と北朝の権力闘争は、この元号の背後にある重要な要素であり、時代の流れを理解するためには欠かせない要素と言えるでしょう。

関連項目

• - 建徳：南北朝時代ではなく、572年から578年の中国・北周の元号も存在します。

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