式守與之吉

式守與之吉について

式守與之吉（しきもり よのきち）は、大相撲の行司において非常に重要な名跡の一つです。この名跡は、行司の称号として伝承され、初代は後の7代目式守伊之助が名乗っています。7代目以降、番付には「式守與之吉」と記載されており、特に2016年から2019年まで襲名した10代目は「與之吉」と名乗ることがありました。

所属と名跡の関係

行司としての式守與之吉は、主に伊勢ヶ濱一門と井筒部屋に所属する行司が名乗ることが多いです。興味深い点は、式守與之吉を名乗った後、式守勘太夫に転名する行司が多いことです。実際、2代から10代までの行司と、12代の行司も「式守與之吉（与之吉）」の名で知られています。

これらの名跡の間には密接な相互関係があり、同じ部屋の行司が同時にこの2つの名跡を名乗ることはありません。たとえば、伊勢ヶ濱部屋に所属する行司が式守與之吉の名を使う場合、井筒部屋の行司は式守勘太夫を名乗ることが一般的です。近年の事例として、二所ノ関一門に属する高田川部屋の木村和一郎が、2012年1月場所から11代式守勘太夫を襲名し、翌2013年5月場所には三役格に昇進しました。

別の転名の流れ

近年では、十両格で與之吉を襲名し、さらに幕内格に昇進する際に、先代の勘太夫が停年または立行司に昇格した結果、幕内格で勘太夫を襲名する流れが主流となっています。特に9代目については、先代勘太夫が序列上で直上にいたため、幕内格で與之吉を名乗ったまま、先代と同時に三役格に昇進しました。このことから、9代目は初めて「与之吉」の名で三役格に昇進した行司として認識されています。

名跡の変遷と最近の動向

2007年には伊勢ヶ濱部屋が一時的に消滅し、同年11月に旧安治川部屋が名称を変更し伊勢ヶ濱部屋となりました。これにより、11代式守勘太夫の襲名は決まったものの、「10代式守與之吉」の今後の動向は注目されていた名跡でした。

2016年1月場所からは、春日山部屋に所属する12代式守与太夫が10代目式守与之吉を襲名しました。この名跡は「与之吉」と表記され、行司としての活動を続けてきました。しかし、10代式守與之吉は春日山部屋の閉鎖に伴い、同年11月場所から追手風部屋に移籍しました。その後、2017年3月には春日山部屋が中川部屋として再構築されたため、再び同部屋に移籍しましたが、2017年5月には宮城野部屋に移籍しています。最終的に2019年5月場所には、10代の与之吉は12代勘太夫を襲名し、再び名跡は空きとなりました。

近年の名跡襲名の例

1989年9月場所までの流れを振り返ると、7代式守勘太夫が伊勢ヶ濱部屋に所属していたのに対し、7代式守與之吉は井筒部屋に所属していました。その後、1990年1月場所には7代式守與之吉が8代式守勘太夫を襲名し、多くの行司がこの名跡を交互に受け継いでいきました。名跡の襲名は、相撲界の伝統とつながっており、行司の役割を果たしながら、名跡の維持と発展が図られています。

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