張保皐

張保皐（ちょうほこう）について

張保皐（790年頃 - 841年）は、統一新羅の時代に新羅、唐、日本の海上勢力を築いた著名な人物である。彼の本名は弓福（または弓巴）であり、朝鮮語では「チャン・ボゴ」と呼ばれることもある。彼は清海鎮大使としての地位を得た後、感義軍使を経て、最終的には鎮海将軍に任命され、その名は日本や中国で広く知られることになった。

略歴

張保皐は790年頃、現在の新羅南部に当たる地域に生まれた。810年には中国の山東半島に渡り、軍閥である徐州武寧軍に加わって、高句麗人出身の李正己との戦闘に従事した。徐州の軍中小将の地位についた後、828年頃に新羅へ帰国し、興徳王に面会した。そこで、特に海賊たちが新羅人を奴隷として売買している実情を報告し、1万人の兵を授けられ、清海鎮大使に任命される。

清海鎮は、現在の全羅南道莞島郡に位置し、彼の任務は奴隷貿易の禁止を目的としていた。張は、海賊を武力で鎮圧するのではなく、海運業と造船業を発展させることにより、彼らに安定した収入源を提供する方針を採った。この結果、彼は新羅南部の海上勢力を統合し、唐や日本との広範な交易を進めることに成功した。また、中国沿岸のイスラーム商人との交易も行い、彼の名声は国境を越えた。

836年、興徳王が没すると金城（現在の慶州）では王位を巡る争いが発生した。張保皐は一旦敗退した金祐徴（後の神武王）を支援するために、友軍の鄭年に5000の兵を与え、閔哀王を討伐する後援を行った。この功績により、彼は感義軍使に任命され、2000戸の食邑を与えられることとなった。神武王は即位に際して張保皐の娘を王妃に迎えると約束したが、王位に即位からわずか6ヶ月後に神武王が急死。文聖王が即位した際、彼は張保皐の功績を称え、鎮海将軍の官位を授与する。

845年、先王との約定に従って張保皐の娘を王妃に迎えようとしたが、群臣の反対によりこれが中止され、張保皐は反乱を起こす。文聖王は彼の武力を恐れ、討伐に消極的だったが、最終的には閻長という剣客によって暗殺される。彼の死は『三国史記』や『三国遺事』によって伝えられており、その評価は時代によるものの、彼の功績は高く評価される。

張保皐はまた、慈覚大師円仁の求法の旅を支援したことで知られている。円仁は、赤山法華院を寄進し、臨唐の際には地方役人との交渉を通じて円仁が不法に滞在することを実現した。円仁が日本に帰国する際、張保皐はすでに亡くなっていたが、彼の部下たちが円仁の帰国を助けた。

評価

彼の死後、文聖王は清海鎮の廃止を決定し、張保皐に従った元部下たちは慶州の碧骨県に移され、反乱を発生させた。この一連の騒乱は「弓福之乱」とも呼ばれる。

張保皐の業績は『新唐書』や『三国史記』で高く評価されており、特に国難の時に国家を第一に考え行動したとして賞賛されている。彼の名にちなんで名付けられた沖海級潜水艦や、様々な作品に登場し続けている。彼の功績と影響は、後世にわたって語り継がれていくことだろう。

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