張承 (孫呉)

張承（ちょうしょう）

張承（178年 - 244年）は、中国三国時代の呉に仕えた武将・政治家。字は仲嗣（ちゅうし）。父は張昭（ちょうしょう）。

生涯

若い頃からその才能を知られ、諸葛瑾（しょかつきん）、歩騭（ほしつ）、厳畯（げんしゅん）と親交を深めた。孫権（そんけん）が驃騎将軍（ひょうきしょうぐん）となると招聘され、西曹掾（せいそうじょう）に任じられる。長沙西部都尉（ちょうさせいぶとい）としては、不服従民を鎮圧し、1万5千の兵を得た。その後、奮威将軍（ふんいしょうぐん）・濡須督（じゅしゅとく）に昇進し、都郷侯（ときょうこう）に封じられた。

人物を見る目に優れており、彭城（ほうじょう）出身の蔡款（さいかん）や南陽（なんよう）出身の謝景（しゃけい）といった人物を推挙し、彼らは後に高官に昇った。また、魯淑（ろしゅく）が成人すると、彼こそが自分の後任として都督（ととく）になる人物であると見抜いた。後に魯淑は武昌督（ぶしょうとく）、次いで夏口督（かこうとく）に就任している。

弟の張休（ちょうきゅう）や縁戚の諸葛恪（しょかつかく）も名声を博していたが、張承はいずれ彼らが身を滅ぼすことを危惧していた。

妻に先立たれた後、父の張昭から親友である諸葛瑾の娘を後妻に勧められる。当初は親友と義理の親子関係になることをためらったが、孫権の仲介もあり婚姻することとなった。

嘉禾5年（236年）に父が病没した際、張承は既に爵位を得ていたため、弟の張休が父の爵位を継いだ。

赤烏3年（240年）頃、80歳に達していた呂岱（りょたい）が質素な生活の中で職務に励んでいたことを知り、手紙を送って賞賛した。

赤烏5年（242年）、孫和（そんわ）が太子となると、後妻との間に生まれた娘がその妃として迎えられることになった。張承はまるで弔問を受けるかのようであったという。

赤烏7年（244年）に死去。定侯（ていこう）と諡（おくりな）された。跡は子の張震（ちょうしん）が継いだ。

逸話

母である孫氏（そんし）が張承を身ごもっていた時、船で長江を遊覧した際、三丈（約2.41メートル）もの白蛇が船に飛び込んできたという。これを吉祥の兆しとして、蛇を箱に入れて持ち帰ったが、帰宅後に箱を開けると蛇は消えていた。近所の人が「白鶴が張昭の屋敷から空へ飛んでいった」と話したため、張承が生まれると、孫氏は彼に白鶴（はっかく）という幼名を与えた。その後、張昭・張承父子は共に高官に昇り栄達した。

評価

呉の周昭（しゅうしょう）は、「張承は厳畯と同様に私欲を捨てて学問に励んだ」と評し、「諸葛瑾・歩騭・厳畯と比べるとわずかに及ばない点があったが、その点を良く弁えて行動し、忠義を保った」と評価した。また、孫登（そんとう）は孫権に宛てた遺言の中で、「国家のために真心を尽くし、政治の根本に通じている」人物の一人として、陸機（りくき）は『弁亡論（べんぼうろん）』の中で、「教養高く、その名声によって国家に栄誉をもたらした」人物の一人として、張承の名を挙げている。

西晋（せいしん）の陳寿（ちんじゅ）は、『三国志』の編纂において、周昭の評価を引用し、顧邵（こしょう）・張承のことを「己を虚しくする人格者」と評した。

参考文献

* 『三国志』張昭伝

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