陸機

陸機（りく き）

陸機（261年 - 303年）は、西晋時代の政治家、文学者、武将として知られています。三国時代の呉に生まれ、呉の四姓の一つである陸氏の出身でした。祖父は呉の丞相を務めた陸遜、父は呉の大司馬陸抗という名門の家柄です。

生涯

陸機は、父と共に呉に仕えましたが、274年に父が亡くなると、兄弟と共に部曲を引き継ぎ、牙門将に任じられました。280年に西晋が呉に侵攻すると、兄たちが戦死し、呉は滅亡。陸機は故郷に隠遁し、勉学に励みました。

西晋への仕官

288年、陸機は『弁亡論』を著し、孫策・孫権の功績を称える一方で、呉滅亡の原因となった孫晧の失政を批判しました。翌年、朝廷からの招聘を受け、弟の陸雲と共に西晋に仕官します。江南の名族出身である陸機兄弟は、当初、中原の士人を軽んじていましたが、名士である張華の風格と徳望に敬服し、師として仰ぎました。張華もまた、陸機兄弟を高く評価し、その名声は大いに高まりました。

賈氏政権下での活動

290年、楊駿が権勢を振るう中、陸機は祭酒に任じられます。しかし、翌年に賈南風が政変を起こし、楊駿が誅殺されると、陸機は太子洗馬・著作郎を歴任。賈謐を中心とする文学集団『金谷二十四友』の一員となり、潘岳、左思らと交流を深めました。

司馬穎との関係と悲劇

300年、趙王司馬倫が政変を起こすと、陸機はこれに協力し、関中侯に封じられます。司馬倫が帝位を簒奪すると、陸機は中書郎に任じられますが、司馬倫討伐の兵が挙兵し、司馬倫が殺害されると、陸機は死罪を免れて辺境に流されます。その後、赦免されて帰還しますが、政争は激化の一途を辿ります。

302年、司馬顒・司馬穎が司馬冏討伐を掲げて挙兵すると、陸機は司馬穎に恩義を感じ、その傘下に入ります。司馬穎は陸機を討伐軍の総大将に任じますが、客将である陸機に対する不満が高まり、讒言によって司馬穎の疑念を招きます。303年、陸機は謀反の疑いをかけられ処刑。享年43歳でした。陸機の子や弟も連座して処刑され、陸遜の直系は断絶しました。

人物

陸機は、七尺の偉丈夫で、声は鐘のように響き渡ったと伝えられています。幼い頃から才能に恵まれ、特に文学の才能は傑出していました。儒学にも通じ、礼儀を重んじる人物でした。弟の陸雲と共に「二陸」と称され、西晋を代表する文学者として、潘岳と共に「潘陸」と並び称されました。

文学

陸機は、文学者として多くの作品を残しました。特に「文賦」は、中国文学理論の代表的著作として高く評価されています。また、書家としても知られ、「平復帖」は現存する最古の有名書家による真跡とされています。

陸機の死

陸機の死は、多くの人々に惜しまれました。処刑の際、故郷の華亭を偲び、鶴の鳴き声を聞けないことを嘆いたと伝えられています。陸機の冤罪を訴えた孫拯もまた処刑され、一族皆殺しとなりました。しかし、親友の紀瞻は陸家を援助し、その遺志を継ぎました。

家系図

陸遜 (祖父)
陸抗 (父)
陸機
陸雲 (弟)

参考文献

『晋書』 - 巻54 列伝第24
『資治通鑑』巻85

関連項目

* 慶応 - 陸機『漢高祖功臣頌』の「慶雲應輝（慶雲應に輝くべし）」が出典

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