後藤圀彦

後藤圀彦（ごとう くにひこ）は、1891年（明治24年）7月2日に生まれ、1945年（昭和20年）10月27日に亡くなった日本の実業家です。京成電気軌道（現在の京成電鉄）の二代目取締役社長を務め、今日の京成電鉄の基盤を築いた人物として知られています。

生い立ちと青年期

後藤圀彦は、大分県直入郡竹田町（現在の竹田市）で、後藤定彦の次男として生まれました。中学二年の時に山火事を起こしたことがきっかけで、15歳で上京しました。東京では苦学をしながら、1911年に法政大学政治学科を卒業。読売新聞社に入社し、政治部長や経済部長を歴任しました。その後、アメリカに渡り経済事情を調査したり、中国を視察するなど、国際的な視野を広げました。

実業界への転身

松方正義や郷誠之助といった財界の大物との出会いを経て、後藤は実業界に身を投じます。関東大震災前には、岩倉具光、河合良成とともに番町会を設立。東洋製鉄会社、川崎銀行、国際信託、池上電気鉄道などを経て、1929年、38歳の時に京成電気軌道の専務に就任しました。

京成電鉄の立て直し

当時、経営が脆弱だった京成電気軌道において、後藤は経営再建に尽力しました。花川戸線（浅草延伸）の免許取得や京成上野線（本線）の建設、電気供給事業、分譲事業など、事業の多角化を推進。系列会社の育成にも力を入れ、今日の京成電鉄の基礎を築きました。積極的な企業買収を行ったことから、東急の五島慶太とともに「電鉄界の両強盗」と称されることもありました。花川戸線免許取得の際には疑獄事件に巻き込まれ、本多貞次郎とともに逮捕されています。また、この事件には後に自民党の創設に貢献した三木武吉も関わっていました。

野球界への貢献

後藤は読売新聞社社長の正力松太郎からの依頼で、1934年8月に谷津遊園に野球場を建設しました。この球場では、後に読売ジャイアンツとなる全日本選抜チームがプレーし、日本のプロ野球の発展に貢献しました。

その後と晩年

1942年、後藤は第21回衆議院議員総選挙に千葉1区から立候補しましたが、落選しました。1943年に病に倒れるも、病床で職務を執り続けましたが、1945年に54歳で亡くなりました。彼の墓は松戸市八柱霊園にあります。

後藤圀彦は、その生涯を通じて、日本の実業界と交通インフラの発展に大きく貢献した人物と言えるでしょう。

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