御神本訓史

御神本訓史：地方競馬を駆け抜けたスター騎手の軌跡

御神本訓史氏は、地方競馬で活躍した名騎手である。1981年生まれ、元益田競馬場の騎手・調教師である御神本修氏を父に持ち、その血筋を受け継いでいる。

華々しいデビューと益田競馬場での活躍

1999年、益田競馬場でデビュー。初騎乗で初勝利を飾り、わずか3ヶ月後には日本海特別を制覇するなど、早くからその才能を発揮した。2000年と2002年には益田競馬場のリーディングジョッキーに輝き、NARグランプリにも選出されるなど、地元益田競馬場のスター騎手として人気を博した。2001年にはマカオの招待競走にも出場し、海外での騎乗経験も積んでいる。同年、全日本リーディングジョッキー競走にも出場し、全国区での知名度を高めた。

大井競馬場への移籍と重傷からの復活

2002年、益田競馬場の休止に伴い大井競馬場へ移籍。移籍初勝利を飾るなど順調なスタートを切ったものの、2003年には落馬事故により、外傷性クモ膜下出血および脳挫傷という重傷を負い、一時意識不明の重体となる。しかし、懸命なリハビリを経て、2005年に本格的に復帰を果たした。

南関東、そして中央競馬での活躍

復帰後は、2006年に東京シティ盃で南関東重賞初制覇。さらに、みちのく大賞典（盛岡）も制覇し、地方競馬だけでなく、中央競馬でも活躍の場を広げた。同年には中央競馬初騎乗、初勝利も達成している。2007年にはマイルグランプリで1番人気のフジノウェーブに騎乗し優勝、その連勝を10に伸ばすなど、数々の重賞競走を制した。同年にはJBCスプリントをフジノウェーブで制覇。地方所属馬として初のJBC制覇という偉業を成し遂げた。この記録は、2019年に自身が騎乗したブルドッグボスが優勝するまで破られることはなかった。2009年には地方通算1000勝を達成した。

不祥事と免許失効、そして再起

順風満帆に見えた御神本氏の騎手人生だったが、度重なる不祥事により騎乗停止処分を繰り返すこととなる。調整ルームへの無断外出、指定タクシー利用拒否、競馬法違反など、数々の問題行為が明らかになった。これらの行為により、2015年の騎手免許更新試験に不合格となり、騎手免許を失効した。

その後は、調教厩務員として働きながら、騎手免許の再取得を目指した。そして2017年、見事騎手免許の再取得を果たし、現役復帰。

南関東クラシック三冠制覇と新たな伝説

2023年にはミックファイアに騎乗し、南関東クラシック三冠（羽田盃、東京ダービー、ジャパンダートダービー）を達成。3歳ダート三冠再整備前最後の三冠騎手となり、華々しいキャリアに新たな伝説を刻み込んだ。

エピソードと移籍争奪戦

地方競馬教養センター時代から、卓越した騎乗センスは教官からも高く評価されていた。益田競馬場休止後の移籍先を巡っては、複数の地方競馬、さらにはJRAからも勧誘を受けるほどの争奪戦が繰り広げられた。最終的に大井競馬場への移籍が決まったが、その経緯は競馬関係者の間で大きな話題となった。

まとめ

御神本訓史氏は、数々の栄光と苦難を経験しながら、地方競馬の歴史に名を刻んだ騎手である。その華麗な騎乗技術と、波乱万丈な人生は、多くの競馬ファンに深い印象を与え続けている。天才的なセンスと並々ならぬ努力によって築き上げられた、輝かしいキャリアと言えるだろう。彼の功績は、これからも語り継がれていくに違いない。

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