徳浦信号場

徳浦信号場：災害による廃止と歴史

徳浦信号場は大分県津久見市に位置し、かつて九州旅客鉄道（JR九州）日豊本線で運用されていた信号場です。単線区間における列車交換を主な役割としていましたが、2017年9月、台風18号による大規模な土砂崩れに見舞われ、その機能を失いました。そして、2018年3月のダイヤ改正をもって完全に廃止されています。

歴史：国鉄時代から民営化を経て災害による終焉へ

徳浦信号場は1967年9月27日、日本国有鉄道によって開設されました。その後、1987年の国鉄分割民営化によりJR九州に継承されました。長らく日豊本線の円滑な運行に貢献してきた同信号場ですが、2017年9月17日、台風18号の襲来により不通となりました。

台風通過後の点検で、信号場構内の第一鳥越トンネル付近で大量の土砂流入が確認されました。この土砂崩れは線路や列車交換設備、さらには継電器室にも甚大な被害をもたらしました。同年12月18日、臼杵駅～佐伯駅間の運転は部分的に再開されましたが、復旧の優先順位から下り線のみの復旧となり、徳浦信号場の列車交換機能は停止されたままとなりました。

JR九州社長の記者会見では、土砂崩れの被害状況を踏まえ、下り線のみの復旧がダイヤへの影響が少ないと判断されたことが説明されています。しかし、上り線については復旧工事が行われず、2018年3月、ダイヤ改正と同時に信号場は閉鎖され、その歴史に幕を閉じました。

構造：単線区間における列車交換施設

徳浦信号場は臼杵駅から津久見駅方面へ5.2kmの地点に位置し、2線の列車交換設備を有する信号場でした。下り線のポイントは直線上にありましたが、出発信号機は片方向のみ設置されていたため、一線スルー方式ではありませんでした。

カーブ上に設置されていたため、見通しの良い場所とは言えず、ほぼ中央部に位置する継電器室の津久見方は短いトンネル（第一鳥越トンネル）になっていました。このトンネルの下り側の入口付近には、中継信号機が設置されていました。しかし、2017年の台風18号による土砂崩れは、この第一鳥越トンネルの臼杵方出口を直撃し、信号場全体に大きな被害をもたらしました。

周辺環境：山林と集落に囲まれた立地

信号場の西側は山林に囲まれており、東側には徳浦本町の集落がありました。最寄りのバス停は臼津交通の徳浦バス停で、津久見駅へのバス路線が運行していました。また、東九州自動車道津久見ICも比較的近距離にありました。

廃止後の状況と影響

徳浦信号場の廃止によって、日豊本線における列車交換の形態に変更が生じた可能性があります。周辺住民や観光客への影響については、バス路線の利用状況や代替交通手段の整備状況によって異なるでしょう。また、信号場の跡地はどのように活用されているのか、今後の変化にも注目が集まります。

まとめ：歴史と災害、そして未来

徳浦信号場は、長年にわたる運行実績と、突如襲った自然災害による廃止という、対照的な歴史を有しています。その存在は、日豊本線の歴史の一端を担っており、災害の脅威と鉄道インフラの脆弱性を改めて認識させる事例と言えるでしょう。今後の災害対策や鉄道インフラ整備において、徳浦信号場の経験が活かされることを期待します。

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