忍路郡

忍路郡の歴史：北海道後志地方の行政区分変遷

忍路郡は、北海道後志地方に存在した郡です。本稿では、その歴史的変遷について詳細に解説します。

江戸時代：和人地と松前藩の支配

江戸時代、忍路郡域は和人地として開発され、松前藩によって「ヲショロ場所」が開設されました。東西を結ぶ陸上交通路（現在の国道5号の前身）が整備され、地域間の交流を促進しました。忍路神社の前身となる蝦夷大国主神社は、延宝2年に忍路場所請負人西川伝右衛門によって勧請されました。

18世紀後半には、一時天領となり、その後松前藩に戻されましたが、再び天領となり庄内藩が警固にあたるなど、変遷を繰り返しました。文久2年には、塩谷村吉原に徳源寺が建立されました。戊辰戦争（箱館戦争）終結直後の1869年、大宝律令の国郡里制を踏襲して忍路郡が正式に設置されました。

明治時代：郡制施行と行政区分変更

1869年（明治2年）、北海道で国郡里制が施行され、後志国と忍路郡が設置されました。開拓使の管轄下に置かれ、戸長・副戸長制度（大区小区制）が導入されました。その後、大区小区制の改編を経て、明治9年には全道30の大区、166の小区へと再編されました。

1879年（明治12年）には郡区町村編制法が施行され、行政区画としての忍路郡が発足。小樽郡などとともに小樽郡外二郡役所、その後は小樽郡外六郡役所の管轄となりました。明治30年には郡役所が廃止され、小樽支庁の管轄に移行しました。

1906年（明治39年）、北海道二級町村制の施行により、塩谷村、桃内村、忍路村、蘭島村が合併し、塩谷村（二級村）が成立しました。その後、小樽支庁が廃止され、後志支庁の管轄となりました。1921年（大正10年）には塩谷村が一級町村制を施行し、1958年（昭和33年）に小樽市に編入されました。これにより、忍路郡は消滅しました。

忍路郡の地理と文化

忍路郡の郡域は、現在、小樽市の一部（塩谷、桃内、忍路、蘭島、オタモイの一部）に相当します。この地域には、歴史的な遺跡や文化遺産も多く残されており、その豊かな歴史を物語っています。例えば、忍路環状列石は、縄文時代の遺跡として知られています。

まとめ

忍路郡は、江戸時代からの歴史と変遷を経て、明治から昭和にかけての北海道の地方行政制度の変化を反映した郡でした。その歴史は、北海道開拓の歴史と深く結びついており、現在に残る地域社会の礎となっています。忍路郡の消滅は、近代化に伴う行政区域の再編を示す一つの事例として、重要な意味を持っています。この地域の豊かな歴史と文化を理解するために、忍路郡の歴史を知ることは不可欠です。

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