成昭皇后

成昭皇后：後燕の悲劇の皇妃

成昭皇后（せいしょうこうごう、325年以前 - 358年）は、後燕の成武帝慕容垂（ぼようすい）の最初の妻であり、即位前に亡くなりました。彼女は鮮卑（せんぴ）段部の大人（たいじん）段末波（だんばつは）の娘で、姓は段氏です。慕容垂には他にも段姓の正室がいたため、区別するために「先段后（せんだんこう）」とも呼ばれます。

生涯

成昭皇后は、気性が激しく、非常に強い意志を持つ女性でした。慕容垂に嫁ぎ、正室として迎えられ、慕容令（ぼようれい）と慕容宝（ぼようほう）という二人の息子を産みました。慕容令は後に献荘帝（けんそうてい）と追号され、慕容宝は恵愍帝（けいびんてい）となりました。

段氏は、自身の出身である鮮卑段部の高さを誇りとしていました。そのことが、彼女の運命を大きく狂わせることになります。当時、慕容儁（ぼようしゅん）の皇后であった可足渾氏（かそくこんし）に対し、しばしば不敬な態度をとっていたのです。可足渾氏は、段氏の態度に強い恨みを抱くようになります。

さらに、慕容儁は弟である慕容垂を疎ましく思っていました。そうした状況下で、光寿2年（358年）に事件が起こります。可足渾氏は、段氏が無実の呪詛罪（じゅそざい）を犯したとして訴え、段氏は捕らえられてしまいます。その後、段氏は激しい拷問にかけられました。慕容垂は、段氏が耐え難い苦痛を受けているのを見て、罪を認めるよう説得しました。しかし、段氏は「私は死ぬことを恐れません。しかし、決して先祖たちと王に累を及ぼすようなことはしません」と嘆き、必死に拷問に耐え続けました。

段氏はついに獄中で亡くなりましたが、慕容垂にかかっていた嫌疑は晴れました。彼女の死は、慕容垂にとって大きな悲しみであったことでしょう。

384年正月、慕容垂は燕王（えんおう）を自称し、後燕（こうえん）を創建しました。そして、建興3年（388年）には、新たに段元妃（だんげんひ）が皇后に立てられた後、段氏も皇后として追封され、「成昭皇后」の諡号（しごう）が贈られました。彼女の死後、ようやく名誉が回復されたのです。

息子たち

慕容令（献荘帝と追号）
慕容宝（恵愍帝）

伝記資料

『晋書』（しんじょ）載記
『十六国春秋』（じゅうろっこくしゅんじゅう）
* 『資治通鑑』（しじつがん）

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