戦争と平和 (1947年の映画)

映画『戦争と平和』について

『戦争と平和』は、1947年（昭和22年）7月22日に公開された日本の映画です。東宝が製作・配給を行い、山本薩夫と亀井文夫が監督を務めました。モノクロ、スタンダードサイズで、上映時間は100分です。

概要

この映画は、憲法普及会の企画によって大映、松竹、東宝の3社が共同で製作した憲法発布記念映画の一本で、「戦争放棄」をテーマとしています。D・W・グリフィス監督の『イーノック・アーデン』を原案とし、戦争が引き起こした二重結婚の悲劇を描いた反戦映画です。劇中には、亀井文夫監督の記録映画『戦ふ兵隊』の一部が挿入されており、戦後の日本の姿をリアルに再現しています。しかし、完成したフィルムはGHQによる検閲を受け、30分近くが削除されました。

中国の景観描写には作画合成が用いられ、特殊技術を担当した渡辺明は、日本映画技術協会の劇映画特殊技術賞を受賞しました。また、第21回キネマ旬報ベスト・テンでは第2位に選ばれています。

あらすじ

物語は、小柴健一が乗っていた輸送船が敵軍の攻撃で沈没するところから始まります。健一は中国近海を漂流中、現地の漁師に救助されますが、日本では戦死の公報が家族のもとに届きます。健一の妻である町子は、健一の友人である康吉を陸軍病院に見舞い、その後、健一の遺児である茂男と共に暮らし始めます。しかし、その矢先に空襲で家を失い、康吉は精神に異常をきたしてしまいます。終戦後、中国で生きていた健一が帰還しますが、健一、町子、康吉の3人は、食糧デモや労働争議など、激しい社会運動の荒波に巻き込まれていくのです。

キャスト

伍東康吉：池部良
町子：岸旗江
小柴健一：伊豆肇
キャバレーの紳士：菅井一郎
隣組長：島田敬一
山村の老妻：藤間房子
アパートの若い女：谷間小百合
近所の娘：三谷幸子
娘の母親：田中筆子
立花満江
長浜藤夫
花沢徳衛
大町文夫
山村老人：北川耕三
河崎保
千葉一郎
戸田春子
ダンサー：高野千代
康吉の妹：飯野公子
木匠久美子

スタッフ

監督：山本薩夫、亀井文夫
製作：伊藤武郎
脚本：八住利雄
撮影：宮島義勇
音楽：飯田信夫
美術：河東安英
録音：空閑昌敏
編集：今泉善珠

備考

東宝特技課に所属していた鷺巣富雄は、花沢徳衛の刺青のメイクを担当しましたが、尺の都合により登場シーンはカットされたと証言しています。

ビブリオグラフィ

『八住利雄 人とシナリオ』（日本シナリオ作家協会、1992年）にシナリオが収録されています。

参考文献

『東宝特撮映画全史』監修 田中友幸、東宝出版事業室、1983年12月10日。ISBN 4-924609-00-5。

外部リンク

戦争と平和 - allcinema
戦争と平和 - IMDb（英語）

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