戸田忠時

戸田忠時：下野足利藩初代藩主の生涯

戸田忠時は、江戸時代前期から中期にかけて活躍した、幕臣から譜代大名へと上り詰めた人物です。下野足利藩の初代藩主として知られ、その生涯は波乱に富み、幕府の要職を歴任しました。

出自と初期の経歴

寛永14年(1637年)、御小姓組番士戸田忠次の次男として誕生しました。父・忠次は三河田原藩初代藩主・戸田尊次の五男でした。兄である忠能が田原藩を継承しましたが、子が無かったため、忠次の長男・忠昌を養子に迎えました。そのため、寛永17年(1640年)に父・忠次が亡くなると、まだ幼少であった忠時は家督を継承することとなります。

幕臣としての活躍

幼少期を過ごし成長した忠時は、延宝8年(1680年)目付に任命され、従六位に叙せられます。その後、天和2年(1682年)には伏見奉行を拝命し、1000石の旗本となりました。さらに、天和3年(1683年)には従五位下・長門守に叙位・任官、貞享3年(1686年)には小姓組番頭に任じられます。

元禄2年(1689年)7月には、甲府藩主・徳川綱豊(後の徳川家宣)に附属され家老となり、8000石に加増されました。綱豊が5代将軍・徳川綱吉の継嗣となり、家宣と名を改め江戸城西の丸に入ると、忠時も召し出され、御側衆として幕臣に復帰します。この頃、忠時は将軍家との信頼関係を築き、幕政にも深く関わっていったと考えられます。

足利藩の立藩と晩年

宝永2年(1705年)、老齢を理由に供奉を免ぜられますが、3000石の加増を受け、下野国足利郡・河内郡・都賀郡の3郡のうち1万1000石に封ぜられ、足利藩を立藩しました。同時に大炊頭に遷任し、従四位下に昇叙、徳川綱吉より朱印を賜りました。これは、忠時までの功績と将軍家への貢献が認められた証と言えるでしょう。

宝永5年(1708年)6月29日、家督を四男の忠囿に譲り隠居。正徳2年(1712年)7月24日、76歳で生涯を閉じました。

系譜

父：戸田忠次
母：伴忠好の娘
正室：土屋利次の娘
子女：戸田忠勝(長男)、松平隆欽、戸田忠義、戸田忠囿(四男)、戸田忠常室など

まとめ

戸田忠時は、幼少期からの苦労を乗り越え、幕臣として卓越した能力を発揮し、やがて大名にまで上り詰めた稀有な人物でした。将軍家との緊密な関係を築き、幕政にも深く関与した彼の生涯は、江戸時代の政治史を理解する上で重要な一端を示しています。その功績は、足利藩の礎を築いたこと、そして幕府の安定に貢献した点に集約されるでしょう。彼の足跡は、後世の藩主たちにも大きな影響を与えたに違いありません。

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