扶桑 (甲鉄艦)

扶桑（ふそう）

日本海軍の艦艇である扶桑は、中央砲郭式装甲艦として位置付けられています。この艦名は、東海に存在する大木を意味するとともに、日本の異称ともされます。

歴史的背景

明治5年、海軍省が設立された時点では、海上警備のための艦艇は「日進」1隻しかありませんでした。残る艦艇のほとんどは練習艦として利用されていました。しかし1874年の佐賀の乱や台湾出兵を経て、軍艦の重要性が再認識され、1875年にはイギリスからの発注によって扶桑艦が建造されました。これは、明治政府が初めて購入した装甲艦であり、金剛、比叡と共に明治維新後初の本格的な艦艇とされます。

設計と建造

扶桑の設計は、イギリス海軍を退官したエドワード・ジェームス・リードに委ねられ、彼の設計した「オーディシアス」をベースにしながら、日本のニーズに合わせた形で縮小されました。艦はロンドンのサミューダ・ブラザーズ造船所で建造され、1878年に完成しました。リードは艦の引き渡し時に日本を訪問し、今後の艦艇に関して多くの提言を行いました。

扶桑艦はその名の通り、扶桑の名前を冠し、正式には「扶桑艦」と呼ばれました。艦種としては装甲フリゲートや装甲コルベットとされていましたが、後に二等戦艦に改められたため、一般的には日本初の戦艦と見なされています。

艦型と機関

本艦の船体は全て鉄製で、3層の甲板を持っていました。機関はグリニッジのジョンベン社により製造され、高圧蒸気を利用した推進方式が採用されました。ボイラーは8基あり、13ノットの速力を目指して設計されましたが、一般的には9ノット程度で運航されていました。

帆装

扶桑は初期には汽帆併用型でしたが、近代化改装に際し、帆装は簡略化されました。この改装によって、蒸気煙突が固定され、より効率的な運用が可能となりました。

兵装

本艦の武装は、イギリスで構造されたクルップ砲を搭載していました。当時の艦では珍しい後装砲を選んだことで、操作性が向上しました。艦の中心部には装甲された部屋が設けられ、その4隅には24cm砲が設置されました。

変遷と戦歴

1886年には近接戦用の機関砲や魚雷発射管が追加され、装備が強化されました。日清戦争には主力艦として参加し、大規模な海戦に携わりました。その後も様々な改修が行われ、艦歴を刻んでいきました。

1897年には事故によって沈没しますが、翌年に浮揚、修理が行われました。日露戦争では旗艦として多くの戦闘に参加しましたが、戦後は艦籍から除かれ、最終的に1909年には売却されることとなりました。

結論

扶桑艦は日本海軍の発展に寄与した重要な艦艇であり、近代海軍の成り立ちを象徴する存在といえます。初期の装甲艦として、その設計や運用は他の軍艦にも影響を与えました。次世代の艦艇への道を開いた扶桑は、歴史に名を刻む一隻です。

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