抜戸岳

抜戸岳（ぬけどだけ）

概要

抜戸岳は、飛騨山脈（北アルプス）南部の主稜線、具体的には槍ヶ岳と双六岳を結ぶ稜線から南西に派生する尾根上に位置しています。この尾根は笠ヶ岳へと続いており、抜戸岳はその中間に位置します。山頂の東斜面には大規模な崩壊地があり、これが「ぬけ」と呼ばれ、山名の由来となっています。この山は中部山岳国立公園内にあり、その豊かな自然環境が保護されています。また、「ぎふ百山」の一つとして、岐阜県を代表する山としても知られています。

登山

登山ルート

主な登山ルートは、新穂高温泉から笠ヶ岳を目指す際に、抜戸岳を経由するルートです。このルートは、新穂高温泉を出発し、左俣林道、笠新道取付、杓子平を経て稜線に合流し、抜戸岳へと至ります。山頂付近は森林限界を超える高山帯で、ハイマツが点在する岩場が広がっています。山頂からは、北北西に黒部五郎岳、東側に槍ヶ岳から穂高岳へと連なる山並み、南西に笠ヶ岳など、周囲の山々の絶景を望むことができます。

杓子平から山頂へのルートは、以前はカール状の谷部をトラバースしていましたが、近年、抜戸岳寄りの尾根を登るルートに変更されました。また、主稜線の西側には登山道が巻いており、分岐点から山頂の三等三角点（点名「奥笠ケ岳」）へと続く枝道があります。

笠ヶ岳から双六岳方面への縦走時にも抜戸岳を経由することがあります。また、わさび平小屋を過ぎ、小池新道を鏡平山荘を経て弓折乗越へと登り詰め、そこから弓折岳、稜線を通って笠ヶ岳へ向かうルートでも、抜戸岳に登頂可能です。

山頂の北側には「秩父平」、南西には「杓子平」と呼ばれるカール状の地形があり、高山植物の群生地となっています。

周辺の山小屋

周辺には登山シーズン中に営業している複数の山小屋があり、登山者の休憩や宿泊に利用されています。

地理

周辺の主な山

抜戸岳は飛騨山脈（北アルプス）南部の双六岳から南に派生する尾根上に位置し、北側には大ノマ岳と弓折岳、南西には笠ヶ岳があります。抜戸岳はこれらの山々の中間に位置します。北西と南西にも尾根が伸びており、複雑な地形を形成しています。また、北側約800mには「秩父岩」と呼ばれる岩場があります。

源流の河川

抜戸岳を源流とする河川は、高原川水系に属し、日本海に注ぎます。主な河川としては、以下のものがあります。

下抜戸沢、奥抜戸沢、穴毛谷: 蒲田川の支流で、山頂の南1.7kmには穴毛大滝があります。
打込谷: 金木戸川の支流。

交通・アクセス

バス: 濃飛バス新穂高温泉バス停から北に4.9kmの位置にあります。
鉄道: JR東海高山本線高山駅から北東に35.7kmの位置にあります。
林道: 岐阜県道475号槍ヶ岳公園線の新穂高温泉バス停付近から左俣林道が、わさび平小屋の先まで伸びています。この林道の途中に、笠新道への取付があります。

抜戸岳の風景と展望

山頂からは、周囲の山々の雄大な景色を望むことができます。特に、槍ヶ岳や穂高岳などの北アルプスの山々の連なりは圧巻です。また、カール地形に広がる高山植物の群生地も、訪れる人々を魅了します。

参考文献

岐阜県山岳連盟『ぎふ百山』岐阜新聞社、1987年7月。ISBN 4905958474。
徳久球雄 編『コンサイス日本山名辞典』（修訂版）三省堂、1992年10月。ISBN 4-385-15403-1。
渡辺幸雄、次田経雄、熊澤正幸、中村成勝『上高地・槍・穂高』山と溪谷社〈ヤマケイアルペンガイド〉、2000年。ISBN 4-635-01319-7。
日本山岳会『新日本山岳誌』ナカニシヤ出版、2005年11月。ISBN 4-779-50000-1。
飛騨山岳会『飛騨の山』ナカニシヤ出版、2010年12月、298-301頁。ISBN 978-4-779-50504-1。

関連項目

飛騨山脈（北アルプス）
中部山岳国立公園
日本の山一覧 (高さ順)・第59位
ぎふ百山

外部リンク

* 地図閲覧サービス（抜戸岳）（国土地理院）

もう一度検索