弓折岳(ゆみおりだけ、ゆみおれだけ)
弓折岳は、
岐阜県高
山市に
位置する飛騨
山脈南部の
山で、
標高は2,592mです。この
山域は
1934年に中部
山岳国立公園に指定されており、豊かな自然が保護されています。
山頂は台地状になっており、花の百名
山、続ぎふ百
山にも選ばれています。また、東
山腹にある鏡平は、新高
山市100景の一つにも数えられています。
動植物
弓折岳周辺は、多様な動植物が生息する場所として知られています。特に、
岐阜県の
レッドリストに指定されているアルプスクロヨトウ、アルプスヤ
ガ、ナカトビヤ
ガ、ヤツ
ガダケヤ
ガといった高
山蛾の確認記録があります。
植物に関しては、花の百名
山に選ばれていることからもわかるように、数多くの高
山植物が自生しています。
田中澄江の著書『花の百名
山』では、ムシトリスミレが弓折岳を代表する花として紹介されています。
山頂付近の稜線登
山道では、ウメバチソウ、
シナノキンバイ、ツマトリソウ、
ハクサンイチゲ、
ハクサンチドリ、ミヤマアキノキリンソウ、ミヤマ
クロユリ、ミヤマダイモンジソウ、メタカラコウなどが見られます。また、小
池新道の
山腹では、ウラジロナナカマド、オオバミゾホオズキ、コイワカ
ガミ、シモツケソウ、コバイケイソウ、
ダケカンバ、トウヤクリンドウ、チングルマなどが、鏡平
山荘周辺では、エンレイソウ、オオバキスミレ、キヌ
ガサソウ、ショウジョウバカマ、サンカヨウ、タケシマラン、ミツバオウレンなどが観察できます。
弓折岳は、古くから登
山者に親しまれてきました。
1928年には、
秩父宮雍仁親王が
穂高岳、
槍ヶ岳、
笠ヶ岳を縦走する際に登頂し、その際、当時は秘境とされていた鏡平にも立ち寄っています。
主な登
山ルートとしては、
新穂高温泉を起点とする小
池新道が挙げられます。このルートは
1955年に小
池義清らによって開設され、入
山が容易になりました。一般的に、弓折岳のみを目的として登頂されることは少なく、
笠ヶ岳登頂時などに通過されることが多いです。
主な登山ルート
小池新道:新穂高温泉 - わさび平小屋 - 秩父沢 - シシウドが原 - 鏡平山荘 - 弓折岳
笠新道:
新穂高温泉 - 杓子平 -(
笠ヶ岳)-
抜戸岳 - 秩父平 - 大ノマ岳 - 大ノマ乗越 - 弓折岳
鏡平山荘
鏡平
山荘は、
1964年に
上宝村の村会議員であった小
池義清によって建設が開始され、翌年に開業しました。義清から経営を引き継いだ次男の潜は
山岳写真家でもあり、小
池新道周辺のわさび平小屋、鏡平
山荘、黒部五郎小舎の経営も行っています。また、
山岳画家の中村清太郎が、鏡平で1ヶ月ほど創作活動を行っていたこともあります。小屋の周辺には
池や
池塘が点在しており、美しい景観が広がっています。
周辺の山小屋
登
山道上には、登
山者用の
山小屋や
キャンプ指定地があり、登
山者の拠点となっています。
地理
弓折岳は、飛騨
山脈の主稜線である樅沢岳から
笠ヶ岳へと延びる支尾根上に
位置しています。
山頂(
標高2,592 mの最高点)の西約100 mには、三等
三角点「中平」(
標高2,588.37 m)が設置されています。また、樅沢岳と大ノマ岳の間に
位置し、大ノマ岳との間にある
峠は、大ノマ乗越と呼ばれています。
源流の河川
弓折岳を源流とする河川は、
神通川水系に属し、
日本海へと流れています。具体的には、双六谷から流れる金木戸川(
高原川の支流)、左俣谷、秩父小沢から流れる蒲田川(
高原川の支流)などがあります。
交通アクセス
弓折岳へのアクセスは、以下の通りです。
濃飛バス新穂高温泉バス停から北北東に7.6km
JR東海高
山本線高
山駅から北東に38.7km
中部縦貫自動車道(高山清見道路)高山インターチェンジから東北東に39km
安房
峠道路平湯インターチェンジから北北東に18km
参考文献
[岐阜県]]山岳連盟『ぎふ百山]』岐阜新聞社、1993年2月。[[ISBN 4905958059。
徳久球雄 編『コンサイス日本
山名辞典』(修訂版)
三省堂、1992年10月。
ISBN 4-385-15403-1。
日本山岳会 編『新日本山岳誌』ナカニシヤ出版、2005年11月。ISBN 4-779-50000-1。
田中澄江『花の百名
山』
文春文庫、1997年6月。
ISBN 4-16-352790-7。
山と溪谷社 編『花の百名山地図帳』山と溪谷社、2007年6月20日。ISBN 9784635922463。
三宅岳『槍
ガ岳・雲ノ平』
山と溪谷社〈花の
山旅⑥〉、2000年6月20日。
ISBN 4635014061。
柳原修一『北アルプス山小屋物語』東京新聞出版局、1990年6月。ISBN 4808303744。
『
山と溪谷2011年1月号付録』
山と溪谷社〈
山の便利手帳2011〉、2010年12月。ASIN B004DPEH6G。
『槍ヶ岳・穂高岳 上高地』昭文社〈山と高原地図2013年版(37)〉、2013年3月15日。ISBN 978-4398758958。
渡辺幸雄、次田経雄、熊澤正幸、中村成勝『上高地・槍・穂高』
山と溪谷社〈ヤマケイアルペン
ガイド19〉、2000年4月。
ISBN 4635013197。
関連項目
飛騨山脈
花の百名
山
続ぎふ百山
鏡平
山荘
外部リンク
*
地図閲覧サービス・弓折岳 国土地理院