拓跋六脩

拓跋六脩：鮮卑拓跋部の勇将、後継者争いの悲劇

拓跋六脩（たくばつ ろくしゅう、生年不詳 - 316年）は、鮮卑拓跋部の王族であり、代王である拓跋猗盧の長男として生まれました。異母弟には拓跋比延がいます。

軍事的な活躍

拓跋六脩は、その生涯において数々の戦で武功を立てました。

311年、劉琨の牙門将である邢延が新興で反乱を起こし、漢（前趙）の劉聡を招き寄せた際、拓跋猗盧の命を受けて救援に向かい、劉聡を打ち破って敗走させました。
312年、漢の劉聡が子の劉粲を派遣して晋陽を襲い、并州刺史の劉琨の父母を殺害し、その城を占拠すると、劉琨の要請に応じて、拓跋猗盧は兵を挙げ救援に向かいました。この時、拓跋六脩は前鋒として活躍し、漢の劉曜と汾東で戦い大勝し、討虜将軍の傅虎を討ち取りました。
313年5月、王浚から大金を受け取った拓跋猗盧は、慕容廆と共に遼西公の段疾陸眷討伐を依頼されました。拓跋猗盧はこれを受け入れ、拓跋六脩を派遣しましたが、拓跋六脩は段疾陸眷に敗れて撤退しました。その後、右賢王に昇進しました。

後継者争いと悲劇的な最期

拓跋猗盧は、末子の拓跋比延を溺愛し、世継ぎにしようと考えていました。そのため、長男である拓跋六脩を新平城（小平城）に赴任させ、その母を王后から降ろしました。さらに、拓跋六脩が所有していた1日に五百里を走るという駿馬も取り上げ、比延に与えました。

後に拓跋六脩が来朝した際、拓跋猗盧は拓跋比延に拝するように命じましたが、拓跋六脩はこれに従いませんでした。そこで、拓跋猗盧は拓跋六脩を外出させ、そこへ拓跋比延を自分の車に乗せて通りがからせました。拓跋六脩は、父である拓跋猗盧が来たと思い、道を避けて平伏しましたが、近くで見ると、車に乗っていたのは拓跋比延でした。拓跋六脩は激怒してその場を去りました。

316年、拓跋六脩は拓跋猗盧に呼び寄せられましたが、これを拒否しました。拓跋猗盧は怒り、兵を率いてこれを討伐しようとしましたが、拓跋六脩は逆に打ち破り、拓跋比延を殺害しました。拓跋猗盧は民間に紛れて逃亡しましたが、一人の賤婦が彼を見つけたため、拓跋六脩は捕らえて殺害しました。その頃、外境を守っていた拓跋普根がこのことを聞きつけ駆けつけ、拓跋六脩を攻めました。拓跋六脩は敗北し、殺害されました。

参考文献

『魏書』（帝紀第一、列伝第二）
* 『資治通鑑』(巻八十七・巻八十八・巻八十九)

拓跋六脩の生涯は、鮮卑拓跋部における後継者争いの激しさと、その中で翻弄された一人の勇将の悲劇を物語っています。彼の武勇は歴史に名を残しましたが、後継者争いの犠牲となり、非業の死を遂げたことは、深く記憶されるべきでしょう。

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