劉琨

劉琨（りゅう こん）

劉琨（271年 - 318年）は、西晋から五胡十六国時代にかけての武将・政治家であり、文学者としても名を残しています。字は越石。

生涯

若き日

劉琨は漢の中山靖王劉勝の末裔とされ、光禄大夫劉蕃の庶子として生まれました。若い頃から才能を発揮し、祖納と共に豪勇として知られていました。司隸従事に任じられた後、石崇の別荘に集まる文人たちと交流し、文学に没頭する日々を送りました。その後、祖逖と共に司州主簿に任じられます。

賈謐が権勢を握ると、劉琨は兄弟と共にその傘下に入り、『金谷二十四友』の一人として文学活動を行います。その後、高密王司馬泰に招かれ、掾、著作郎、太学博士、尚書郎と昇進しました。

八王の乱

300年、趙王司馬倫が賈謐を誅殺し政権を掌握すると、劉琨は記室督、従事中郎に任じられます。姉が司馬倫の子に嫁いでいたことから、司馬倫に重用されました。司馬倫が帝位を簒奪すると、劉琨は詹事として皇太子となった司馬荂を補佐しました。

301年、斉王司馬冏らが司馬倫討伐を掲げて決起すると、劉琨は総大将として軍を率いて司馬穎と戦いますが大敗。軍を立て直し防備を固めます。司馬倫が殺害された後、劉琨一族は罪を許され、尚書左丞に任じられます。その後、司馬虓に招かれ司馬に任じられました。

304年、恵帝が長安に強制連行されると、劉琨は司馬虓らと共に司馬顒打倒を掲げて挙兵。劉喬との戦いを経て、劉琨は父母を奪還します。その後も司馬越と合流し、劉祐を破るなどの功績を挙げました。306年、劉琨は広武侯に封じられ、食邑を与えられました。

并州へ

304年、匈奴の劉淵が挙兵し漢を建国。并州は荒廃し、民は離散していました。306年、劉琨は并州刺史に任じられ、千人余りの兵を率いて并州へ向かいます。晋陽にたどり着いた劉琨は、荒廃した города города 復興に尽力し、流民の帰還を促しました。劉淵との対立が深まる中、劉琨は少数民族を離間させる策を講じ、1万を超える人々が劉琨に降伏しました。

308年、劉淵は蒲子に都を移し、劉琨を警戒。劉琨は鮮卑兵を率いて漢軍を破ります。309年、劉淵は王弥らに壷関攻略を命じ、劉琨は迎撃するも敗北。その後、劉琨は鉄弗部の劉虎を討伐します。310年、劉琨は河内郡太守に郭黙を任じ、漢を防がせました。

拓跋部との同盟

劉琨は拓跋部と同盟を結び、その支援を得て勢力を拡大します。反乱を起こした白部や劉虎を拓跋部の軍勢が鎮圧。劉琨と拓跋猗盧は義兄弟の契りを結び、関係を深めます。劉琨は拓跋猗盧を大単于・代公に封じるよう上表しますが、王浚がこれを拒否し対立。その後、劉琨は拓跋猗盧に洛陽救援を要請し、援軍を得ました。劉琨は拓跋猗盧の兵力を頼みとし、領地の一部を与えました。

劉琨は司馬越に拓跋猗盧と協力して劉聡と石勒を討つよう進言しますが、受け入れられません。311年、劉琨は石勒の母と従子を確保し、石勒に帰順を促しますが拒否されます。その後、劉琨は拓跋部との結びつきを強化するため、子の劉遵を人質として送ります。王浚が劉琨の勢力拡大を警戒し攻撃を仕掛けますが、敗北。拓跋猗盧の子が劉琨を援護するために駐軍します。劉琨は拓跋猗盧と共に反乱を鎮圧し、劉聡を敗走させました。

312年、劉琨は晋陽を攻める漢軍を拓跋猗盧と共に撃退。河北郡県を荒らす趙固らを防ぐため、劉演を派遣します。劉琨は州郡に檄文を送り、漢攻略を呼びかけ、拓跋猗盧もこれに同意しました。

劉聡が劉易らを派遣し晋陽を攻撃すると、劉琨は常山へ撤退。晋陽は陥落し、劉琨の父母は殺害されます。劉琨は拓跋猗盧と合流し、漢軍を攻撃し敗走させます。拓跋猗盧は劉琨に馬などを譲り、晋陽の守備を命じて帰還。劉琨は陽邑に入り、流民をかき集めました。

313年、鄴城が石虎により陥落すると、劉琨は劉演を兗州刺史に任じます。拓跋猗盧と平陽攻略の策を練りますが、漢軍の動きを知り退却。314年、劉琨は大将軍に任じられます。石勒は劉琨に人質を送り、王浚討伐を申し出ます。劉琨はこれに同意し、拓跋猗盧に漢攻撃を依頼しますが、石勒が王浚を滅ぼし、拓跋部の反乱が起こったため、漢攻略は中止となりました。

315年、劉琨は司空に任じられますが固辞。劉曜が上党へ侵攻すると、劉琨は迎え撃つも敗れました。

并州失陥

316年、拓跋猗盧が殺害され、国内が混乱すると、衛雄らが劉琨に帰順。劉琨は彼らを迎え入れ勢力を拡大します。長安が陥落し、西晋が滅亡すると、劉琨は石勒を威圧しようとしますが、箕澹らの諫めを聞き入れず敗北。并州は震撼し、防衛もままならなくなります。12月、李弘が反乱を起こし、并州ごと石勒に降伏。劉琨は段匹磾を頼り、薊城に入りました。段匹磾と劉琨は互いに尊重し合い、義兄弟の契りを結びました。

最期

317年、劉琨は段匹磾と共に司馬睿を補佐することを決め、各地に檄文を送ります。温嶠を建康に派遣し、司馬睿へ帝位に即くよう上奏しました。段匹磾は劉琨を推挙して大都督とし、石勒討伐を計画。しかし、段末波の裏切りにより、計画は頓挫しました。劉琨は太尉に任じられ、司馬睿から名刀を贈られます。

318年、段渉復辰が段末波に殺害され、段匹磾が撃退されると、劉羣は段末波に捕えられます。段末波は劉琨を幽州刺史に擁立しようと企み、劉琨に内応を促す手紙を送ります。しかし、使者は段匹磾に捕えられ、劉琨は疑われることになります。段匹磾は劉琨を信じて帰らせようとしますが、家臣の進言により劉琨を留めます。劉琨の庶長子劉遵は段匹磾に誅殺されるのを恐れ、城門を閉じて守りを固めました。

王敦が段匹磾に劉琨殺害を密かに指示すると、段匹磾は部下の反乱を恐れ、劉琨を捕縛し絞殺しました。享年48歳。

死後

劉琨の部下は残った兵を率いて劉羣を主に立て、段末波を頼りました。その他の多くは石勒に投降。元帝は劉琨の死を悼み、太尉・侍中の官位を送り、愍という諡号を贈りました。

人物

劉琨は幼い頃から志があり、晋室に忠誠を誓っていました。しかし、驕り昂る一面もあり、贅沢な暮らしを好みました。夷狄を義によって伏させるのは難しいと考えており、常に国の行く末を案じていました。祖逖とは若い頃からの親友で、互いに切磋琢磨し合いました。

逸話

劉琨は并州従事莫含を拓跋猗盧に譲る際、国家のためになるなら小事にこだわるなと説得しました。また、胡族の騎兵に包囲された際、月登樓で歌を歌い、賊を感涙させ退却させたという逸話も残っています。

家系

曾祖父: 劉邁
祖父: 劉進
父母: 劉蕃、郭氏
妻: 崔氏
兄弟: 劉輿
姉妹: 劉氏
* 子: 劉遵、劉羣

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