拓跋翳槐

拓跋翳槐（たくばつ えいかい）

拓跋翳槐（生年不詳 - 338年）は、代国の王であり、拓跋鬱律の長男として生まれました。彼は、北魏の道武帝によって烈皇帝と追尊されています。

生涯

混乱の中での即位

321年、父である拓跋鬱律の治世下で、伯母の惟氏が自身の子供を後継者にするため、拓跋鬱律や多くの有力者を殺害するという事件が起こりました。この混乱の中、拓跋翳槐は妻の一族である賀蘭部へ逃れ、賀蘭部の長の賀蘭藹頭に保護されます。

327年、拓跋紇那が拓跋翳槐の引き渡しを要求しますが、賀蘭藹頭はこれを拒否。これに対し、拓跋紇那は宇文部と兵を合わせて賀蘭部を攻撃しますが、賀蘭藹頭らに撃退されます。

329年、賀蘭藹頭らが拓跋翳槐を代王として擁立することを計画し、拓跋紇那は宇文部へ亡命。これにより、賀蘭部および他の部族の有力者たちは拓跋翳槐を王として推戴しました。即位後、石勒（後趙の君主）は使者を送り和親を求め、拓跋翳槐は弟の拓跋什翼犍を襄国へ派遣し、友好関係を築こうとしました。

失脚と復帰

335年、賀蘭藹頭が職務を怠るようになったため、拓跋翳槐は賀蘭藹頭を呼び出して殺害。この行為により、多くの部族が拓跋翳槐から離反しました。拓跋紇那はこれに乗じて宇文部から攻め込み、多くの部族がこれを迎え入れました。拓跋翳槐は鄴へ逃亡し、後趙の庇護下に入ります。後趙の石虎は彼を手厚く扱い、邸宅や多くの財宝を与えました。

337年、後趙の石虎は将軍李穆に5千の兵を与え大寧を攻めさせ、拓跋翳槐をそこに移住させました。これにより、6千人以上の人々が拓跋紇那から離れ、拓跋翳槐のもとに集まりました。拓跋紇那は前燕へ逃亡し、人々は再び拓跋翳槐を王として擁立。かつて盛楽城があった場所の東南に新たな盛楽城を築き、遷都しました。

死と後継者

338年、拓跋翳槐は病に倒れ、後趙へ人質として送っている弟の拓跋什翼犍を後継者とするよう遺言し、亡くなりました。

拓跋翳槐の生涯は、激動の時代を生き抜いた王の姿を今に伝えています。彼の治世は、後の北魏の歴史に大きな影響を与えました。

参考文献

『魏書』（帝紀第一）
『資治通鑑』（巻九十一・巻九十三・巻九十四・巻九十五・巻九十六）

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