拓跋紇那

拓跋紇那（たくばつ こつな）

拓跋紇那（生没年不詳）は、4世紀前半の代国の王であり、後の北魏の道武帝によって煬皇帝と追諡されました。彼は拓跋猗㐌の三男として生まれ、兄である拓跋普根、拓跋賀傉の後を継ぎました。

生涯

王位継承と初期の苦難 (325年 - 329年)

325年12月、兄の拓跋賀傉の死後、拓跋紇那は王位を継承しました。しかし、その治世はすぐに困難に直面します。327年、後趙の石勒が石虎に5千の騎兵を与え、代国の国境へ侵攻させました。拓跋紇那は句注と陘北で迎撃を試みましたが、不利な状況に陥り、大寧へと撤退しました。

この頃、拓跋鬱律の長男である拓跋翳槐は、妻の一族である賀蘭部に身を寄せていました。拓跋紇那は賀蘭部へ使者を派遣し、拓跋翳槐の引き渡しを求めましたが、賀蘭部の指導者である賀蘭藹頭は、拓跋翳槐を擁立する意図を持っていたため、これを拒否しました。激怒した拓跋紇那は、宇文部と兵を合わせ、賀蘭藹頭を討伐しようと試みましたが、宇文部が敗北し、拓跋紇那は大寧へ帰還せざるを得ませんでした。

一時的な亡命 (329年)

度重なる危機に直面した拓跋紇那は、329年に宇文部へ亡命を決意します。これを受けて、賀蘭部およびその他の部族の有力者たちは、拓跋翳槐を新たな代王として擁立しました。

王位への復帰 (335年 - 337年)

しかし、拓跋翳槐が王位に就くと、その尊大な態度が諸部族の反感を買うようになります。335年、拓跋紇那は好機と見て宇文部から攻め込み、これに呼応した諸部族の支持を得て、再び王位に返り咲きました。拓跋翳槐は鄴へ逃亡し、後趙の庇護を受けました。

再び亡命、そして消息不明 (337年以降)

337年、後趙の石虎は将軍李穆に5千の騎兵を与え、大寧を攻撃させ、拓跋翳槐を再び大寧へ移住させました。これにより、6千人以上の部族民が拓跋紇那から離反し、拓跋翳槐の下へ集まりました。拓跋紇那は前燕へ亡命し、国人たちは再び拓跋翳槐を擁立し、盛楽に新たな城を築いて移り住みました。その後の拓跋紇那の消息は不明です。

煬皇帝という悪諡

後に北魏を建国した道武帝によって、拓跋紇那は煬皇帝という悪諡号を贈られました。これは、彼の治世における混乱と失態を反映したものと考えられます。

参考文献

『魏書』（帝紀第一）
『資治通鑑』（巻九十三・巻九十四・巻九十五）

もう一度検索