持明院基家

持明院基家の生涯と業績

持明院基家（じみょういん もといえ）は、平安時代後期から鎌倉時代初期にかけて活躍した公卿で、大蔵卿・藤原通基の三男として生を受けました。彼は官位として正二位・権中納言を持ち、持明院家の三代当主でもあります。また、後堀河天皇の外祖父でもあり、彼の人生は歴史に名を刻んでいます。

生い立ちと初期の経歴

基家は長承元年（1132年）に生まれ、初名は通基とされました。彼は父の通基から持仏堂である持明院の継承者として位置付けられ、久安元年（1145年）11月に従五位下に叙爵されました。その後、能登守や美作守、左近衛中将など、様々な官職を歴任していきます。承安2年（1172年）には従三位に昇進し、治承三年の政変後には右京大夫に任じられました。その後、寿永元年（1182年）には参議に任ぜられて権力を高めます。

政治的動乱と亡命

基家の人生は平家の一門との密接な関わりがあり、平頼盛の娘を妻として迎えています。この娘とは守貞親王の乳母人として、親王の養育にも携わりました。ところが寿永2年（1183年）、平家が都を去るときには、親王とともに出発せずに都にとどまりました。その結果、木曾義仲によるクーデターで解官となり、義仲上京による政治的混乱を避けるために、舅の頼盛や甥の一条能保と共に関東へと亡命しました。

義仲が滅亡した後、基家は都に戻り、妻と共に西海から戻った守貞親王に仕えました。彼は持明院を親王の居所として提供し、さらに彼の娘、陳子をその妃として迎えるという重要なつながりを築きました。

最後の年月と出家

文治6年（1190年）には正二位にまで昇進し、晩年には出家して引退します。法名は真智であり、建保2年（1214年）に83歳で亡くなりました。その死後、基家の子孫は羽林家の持明院家として発展し、彼の影響は後世にまで及びました。

基家にまつわる逸話

基家に関する逸話も数多く残されています。鎌倉時代の禅僧・道元の言葉を弟子の懐奘が記した『正法眼蔵随聞記』には、基家が秘蔵の太刀を盗まれた際、犯人がわかっていてもその仕返しをしなかったという逸話が載っています。彼は、士ひの恥辱を思いやったとされ、この行動によって子孫も繁栄を遂げたと考えられています。

基家の家族と関係

基家の母、上西門院一条は統子内親王の乳母を務め、彼の妻も持明院宰相局として、後高倉院の乳母となりました。基家と彼を取り巻く人々のつながりは、後に統子内親王と守貞親王の間の猶子関係を結ぶことになり、基家の影響力を強めていきました。彼の子どもたちも、様々な重要な結婚を通じて、さらなる勢力を持つことができました。

持明院基家は、その政治的な影響力や家族の繋がりによって、鎌倉時代に後堀河天皇即位の重要な要素となり、彼の一族はその後も日本の歴史の中で重要な役割を果たしています。

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