守貞親王

守貞親王（もりさだしんのう）とは

守貞親王は、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけての皇族です。高倉天皇の第二皇子として生まれ、幼少期は平家のもとで過ごしました。その後、皇位を巡る争いに巻き込まれながらも、最終的には太上法皇として院政を敷くという、異例の経歴を持つ人物です。

生涯

生い立ちと平家との関わり

治承3年（1179年）に、高倉天皇の第二皇子として誕生しました。母は坊門信隆の娘・殖子（七条院）です。幼少期には、乳母が平知盛の正室であった縁から、平家のもとで養育されました。寿永2年（1183年）には、平氏の都落ちの際に、安徳天皇の皇太子候補として西国へ同行することになります。

しかし、平家滅亡後、都に戻ると、既に異母弟である後鳥羽天皇が即位していました。

親王宣下と持明院宮

文治5年（1189年）に親王宣下を受け、建久2年（1191年）に元服・加冠を行います。その後、上西門院の猶子となり、持明院基家の娘・陳子を妃に迎え、持明院を御所として持明院宮を号しました。

皇位継承争いと出家

後鳥羽天皇の治世下では、土御門天皇擁立の動きの中で、守貞親王も皇位候補の一人として名前が挙がります。しかし、最終的には後鳥羽天皇の皇子である土御門天皇が即位しました。守貞親王は、皇位継承の可能性が薄れたことを嘆き、建暦2年（1212年）に出家し、法名を「行助」と名乗ります。

承久の乱と太上法皇への道

出家から8年後の承久3年（1221年）に、後鳥羽上皇と鎌倉幕府の間で承久の乱が勃発します。乱後、幕府は後鳥羽上皇とその系統の皇族を処分し、皇位継承の候補者はいなくなってしまいます。この時、行助の三男である茂仁王が唯一の皇位継承者となります。幕府は茂仁王を即位させ（後堀河天皇）、その父である行助を入道[[親王]]でありながら、太上天皇号を奉り、法皇として院政を敷かせることにしました。

これは前例のない措置でしたが、後鳥羽上皇系の皇族が排除された状況下では、他に選択肢がありませんでした。

治天としての活躍と薨去

太上法皇となった行助は、乱後の朝廷内の混乱を収拾し、公武関係の融和に尽力しました。しかし、わずか2年後の貞応2年（1223年）に病により薨去しました。薨去後、「後高倉院」の院号が贈られています。

人物像

守貞親王は、波乱に満ちた生涯を送った人物です。幼少期から平家との関わりを持ち、皇位継承争いにも巻き込まれました。しかし、最終的には太上法皇として、朝廷の安定に貢献しました。その異例の経歴は、当時の社会情勢を反映するものと言えるでしょう。

略譜

治承3年（1179年）2月28日 - 生誕
文治5年（1189年）11月19日 - 親王宣下、無品
建久2年（1191年）12月26日 - 元服・加冠、三品
建暦2年（1212年）3月26日 - 出家、入道[[親王]]
承久3年（1221年）8月16日 - 太上天皇（法皇）
貞応2年（1223年）5月14日 - 薨去

系譜

妃：持明院陳子（北白河院）（1173年 - 1238年） - 持明院基家女
第一皇子：尊性法親王（1194年 - 1239年） - 天台座主
第一皇女：利子内[[親王]]（式乾門院）（1197年 - 1251年） - 伊勢斎宮、四条天皇准母
第二皇女：能子内親王（押小路宮）（1200年 - 1245年）
第三皇女：本子内親王（? - 1229年）
第二皇子：道深法親王（1206年 - 1249年） - 仁和寺門跡
第四皇女：邦子内親王（安嘉門院）（1209年 - 1283年） - 後堀河天皇准母
第三皇子：茂仁王（後堀河天皇）（1212年 - 1234年）
生母不詳：皇女：有子内親王（生没年不詳）

関連作品

テレビドラマ『義経』（2005年、NHK大河ドラマ、演：水谷大地） - 安徳天皇と入れ代わり海に没するという設定

参考文献

曽我部愛『中世王家の政治と構造』（同成社、2021年） ISBN 978-4-88621-879-7

関連項目

三左衛門事件
小一条院
後亀山院・後崇光院

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