撫順 (駆逐艦)

撫順（Fu Shun）：グネフヌイ級駆逐艦レースキーの変遷

撫順は、元々はソ連海軍のグネフヌイ級駆逐艦「レースキー」（Резкий）として建造されました。この艦は、1930年代後半にソ連海軍が計画した駆逐艦であり、29隻が建造されたグネフヌイ級の1隻です。ソ連の駆逐艦設計には、イタリアのフォルゴーレ級の設計が参考にされましたが、ソ連の要求に合わせて大幅な改修が加えられました。

設計と特徴

グネフヌイ級は、全長112.8メートル、全幅10.2メートル、喫水4.8メートルであり、標準排水量1,612トン、満載排水量2,039トンでした。乗組員は平時で197名、戦時で236名でした。推進機関には、2基の歯車式蒸気タービンと3基の水管ボイラーが搭載され、48,000馬力を発生し、最大速度は37ノット（時速69km）を予定していました。しかし、実際には多くの艦が設計速度を上回る性能を示しました。航続距離は重油搭載量により変動しましたが、19ノット（時速35km）で1,670海里から3,145海里と幅がありました。

武装としては、130mm B-13砲を4門、76.2mm 34-K AA砲1門、45mm 21-K AA砲1門、12.7mm DKまたはDShK機関砲2門を搭載しました。魚雷兵装は533mm魚雷発射管を6門搭載し、機雷は最大95個、爆雷は25個を搭載可能でした。対潜兵装としては、マーズ・ハイドロフォンとK-1パラベーン、爆雷投射機を装備していました。

艦歴

「レースキー」は、1936年5月5日にニコライエフの第198造船所で起工されましたが、その後ウラジオストクの第202造船所に移送され、1938年8月20日に再起工されました。1940年4月29日に進水し、1942年8月16日にソ連海軍に就役しました。第二次世界大戦中、太平洋艦隊に配属され、作戦に従事しました。

戦後、「レースキー」は1955年に中国に売却され、「撫順」と改名されました。中国海軍では重要な駆逐艦として運用されましたが、1980年代後半にスクラップとなりました。この艦は、ソ連海軍、そして中国海軍の歴史において、重要な役割を果たした艦艇でした。グネフヌイ級駆逐艦は、その設計上の課題にもかかわらず、第二次世界大戦中のソ連海軍において貴重な戦力となり、戦後も各国で運用されるなど、その影響は大きかったと言えるでしょう。撫順は、その中でも特にその歴史的な変遷から、象徴的な存在として記憶されています。

まとめ

撫順は、グネフヌイ級駆逐艦レースキーとして誕生し、ソ連海軍から中国海軍へとその所属を変えながら、それぞれの時代において重要な役割を果たした駆逐艦です。その設計と武装は、当時の駆逐艦技術を反映しており、多くの海戦に参加しました。撫順の歴史は、ソ連と中国の海軍史を語る上で欠かせない要素であり、その存在は、第二次世界大戦から冷戦時代にかけての国際関係と海軍戦略の変化を映し出す鏡とも言えるでしょう。

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