放光寺 (甲州市)

放光寺（ほうこうじ）

放光寺は、山梨県甲州市にある真言宗智山派に属する寺院です。高橋山という山号を持ち、その本尊に金剛界大日如来を祀っています。また、映画『ファンシイダンス』のロケ地としても知られています。

沿革

放光寺の歴史は非常に古く、平安時代に遡ります。『甲斐国志』によれば、放光寺の前身は高橋山多聞院法光寺で、平安時代の盛んな山岳仏教に基づいて建立されました。後に、甲斐源氏の安田義定によって、寿永3年（1184年）に藤木郷へ移転され、彼の屋敷に近い場所で安田氏の菩提寺となりました。

開山を務めたのは賀賢上人であり、義定が997年に反逆の疑いで梟首されたという記録があります。放光寺が義定の菩提寺であったため、『甲斐国志』に記載された義定位牌には「法光大禅定門」との表記が見られます。建久2年（1191年）に寄進された梵鐘銘には「法光寺」の表記が登場し、「放光寺」との表記が初めて確認されるのは戦国時代の天文17年（1548年）です。

その後、放光寺は織田信長と徳川家康の混乱の中で影響を受け、天正10年（1582年）には本堂が焼失するなどの困難も経験しました。しかし、家康の庇護を受けられたことで、寺領を安堵され、以後も発展していきます。江戸時代には数多くの寺院とのつながりを持ち、地域の宗教的中心地となりました。

文化財

放光寺には数多くの貴重な文化財が存在します。重要文化財には、木造大日如来坐像、木造不動明王立像、木造愛染明王坐像、木造金剛力士立像が含まれています。

木造大日如来坐像

本尊である木造の大日如来坐像は、金剛界に属し、漆箔が施されています。像高は95.4センチメートルで、平安時代末期の円派の作とされ、創建以前から存在したと考えられています。

木造不動明王立像

平安時代に作られた不動明王像で、十九観様の特徴を持っています。

木造愛染明王坐像

平安時代に造られた愛染明王像で、檜材で作られており、像高は89.4センチメートルです。弓矢を持つ姿が特徴で、愛染明王への信仰が盛んだった時期の作品です。

木造金剛力士立像

鎌倉時代に造られた金剛力士像で、984年頃に建立されたと考えられています。アートリー・成朝によるもので、見事な彫刻技術が施されています。

アクセス

放光寺へのアクセスは、JR中央本線の塩山駅からが便利です。市民バスに乗り換え、中藤木バス停で下車します。他にも、山梨市営バスを利用する方法もあります。

放光寺は歴史深い寺院であり、数多くの文化財を有するとともに、地域の人々にとって重要な精神的な拠り所となっています。訪問することで、その歴史や信仰の深さを体感できることでしょう。

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