文殿

文殿の概要

文殿（ふどのまたはふみどの）は、古代日本における太政官や院庁で、公文書や典籍を管理するための専門的な施設です。この場所では、公的な書類や重要な文献が整理・保管されていました。その役割は他の公的機関における公文所に相当するものでした。

太政官における文殿の位置づけ

太政官内では少納言局の管理下に置かれており、外記やその史生が実務に携わっていました。これにより、公文の作成や先例についての確認などがなされていました。特に内裏内の校書殿（清涼殿の南側、安福殿の北側）が文殿の主な管理場所とされ、校書殿は文殿の別名としても知られています。

少納言の地位の変動に伴い、文殿の責任者は大夫史（官務）に引き継がれ、その後、代わって弁官や官務に属する文殿が設置されるようになりました。時が経つにつれ、左大弁（官務）小槻氏が太政官文殿を、大外記（局務）中原氏が院文殿を監督するようになり、その役職も世襲化していきました。

特に、嘉禄2年（1226年）に太政官の文殿が焼失した際には、その機能が官務文庫に移行しました。

院政における文殿の役割

院政期には、院庁における文殿にも重要な機能が求められました。ここでは、訴訟などの書類が集約され、律令法や儒教に精通した中下級公家が寄人（職員）として任命されました。このように、文殿は記録所としても機能することで、院政の合議や訴訟機関である院評定が主に行われる場所となりました。

また、上皇や法皇が新たに院政を開始する際の儀式は「文殿始（ふどのはじめ）」と呼ばれ、文殿は政治的決定の場としても重要な役割を果たしたのです。

まとめ

文殿は古代日本の政治において、書類管理や文献の保管において欠かせない存在でした。太政官と院庁での役割を通じて、文殿は公文書の重要性を担保し、古代の政治システムにおいてその機能を大きく果たしました。特に、法律や政治の決定に関与したことから、文殿の存在は日本の歴史において重要な意味を持っていました。

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