斎藤晌

斎藤晌 (さいとう しょう) の生涯と業績

1898年1月15日、愛媛県に生まれた斎藤晌は、日本の哲学研究の分野で重要な役割を果たしました。彼の家系は宇和島藩の藩校で儒学者を輩出しており、斎藤は早くから漢籍に親しみ、深い学問的妙味を身に付けました。1924年に東京帝国大学の文学部哲学科を卒業し、その後、東洋大学や大東文化学院で教授として教鞭を執ることになります。

経歴

斎藤は1943年から日本出版会の常務理事を務めましたが、1944年にその職を辞しました。太平洋戦争が終わると、占領期に彼の以前の活動が戦争協力と見なされ、公職追放の対象となりました。しかし、1952年に明治大学教授となり、その後1953年からは再び東洋大学教授として活動を再開します。1956年には東洋大学文学部長に就任し、1969年に定年退職しました。

研究内容・業績

斎藤は『スピノザ全集』の翻訳を手掛けた他、唯物論研究会の設立にも関与し、哲学の普及に尽力しました。しかし、1930年代後半から日中戦争の影響で思想が変化し、太平洋戦争中には大日本言論報国会の理事に名を連ねるようになります。また、1943年から1944年には、メディアを統制する日本出版会の常務理事としても活動しました。

戦後の斎藤は、昭和30年代に日本初の本格的SFブックシリーズ『最新科学小説全集』の企画に関わり、出版界に新風を吹き込む存在となりました。彼の多岐にわたる研究と著作は、今なお多くの人々によって評価されています。

著書・翻訳

斎藤の著作は豊富であり、哲学のみならず文学や歴史に関するものも多数あります。主な著書には次のものがあります。

• - 『哲学概論』（1936年）
• - 『日本漢詩 古代篇』（1937年）
• - 『歴史哲学 民族史観への基礎的予備概念』（1938年）
• - 『日本思想の将来性』（1939年）
• - 『日本文化の諸問題』（1941年）
• - 『方法』（1947年）
• - 『自殺及び殺人の哲学』（1951年）
• - 『自身の哲学』（1952年）

また、彼の翻訳業績も優れています。以下はその一部です。

• - 『復活祭』 (ストリンドベルヒ) 1922年
• - 『倫理学（エチカ）』 (スピノザ) 1948年
• - 『唐詩選』 上下 (集英社) 1964-65年

斎藤晌はその多様な研究と業績を通じて、日本の哲学の発展に多大な貢献をしており、その思想は現在でも多くの人々に影響を与えています。彼の生涯は、学問を通じて真理を追求する姿勢の模範となるでしょう。

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