斜内山

斜内山（しゃないさん）

概要

斜内山は、日本の北海道北部、具体的には枝幸郡浜頓別町と枝幸郡枝幸町にまたがる山岳です。標高は438.8メートル。北見山地がオホーツク海に向かって延びる最北端に位置しており、その山体の先端部は美しい景観で知られる北見神威岬を形成しています。山頂には、国の測量基準点である二等三角点「斜内山」が設置されています。

地理と自然

この山は、北見山地の最果てとして、オホーツク海に面した特異な地形を持っています。山体の一部が海に突き出した北見神威岬は、その自然景観の価値が認められ、「ピリカノカ神威岬」として2010年に国の名勝に指定されました。「ピリカノカ」はアイヌ語で「美しい形」を意味するとされ、その名の通り、岬の断崖や奇岩が織りなす風景は訪れる人々を魅了します。岬の最突端には、厳しい海の気象条件下でも船舶の安全を守る北見神威岬灯台が設置されています。斜内山の植生は地域によって異なり、山頂付近では岩場や低木、藪が広がる一方、山麓は多様な植生が見られます。

交通路の歴史

斜内山周辺の交通は、時代の変化と共に大きく変遷してきました。かつてこの地域を縦断する主要道路であった国道238号は、斜内山を避けるように山腹を縫う「斜内山道」として建設されました。この旧道沿いには、かつて旅客および貨物を輸送していた国鉄興浜北線（こうひんほくせん）の廃線跡が今も見られます。しかし、安全かつ効率的な交通網の整備が進められた結果、斜内山の地下を貫く長大なトンネル「北オホーツクトンネル」が開通し、国道の主要ルートはそちらへ切り替わりました。これに伴い、かつての斜内山道は国道の指定を外れ、現在は地元の町道として利用されています。この交通路の移り変わりは、地域の開発史と深い関わりがあります。

登山

斜内山には、一般向けに整備された明確な登山道は存在しません。主に無雪期、特に夏から秋にかけて、地形に詳しい経験者や愛好家によって登られることがあります。一般的なアプローチとしては、北オホーツクトンネルの浜頓別町側にある入口付近のスペースが利用されることがありますが、そこから山頂を目指すルートは非常に厳しいものです。全体を通して急な斜面が続き、高度を上げるにつれて傾斜はさらに増します。特に山頂部は岩が露出した地帯が多く、夏場などは密生した笹や潅木による藪（やぶ）に覆われるため、進行には困難な藪漕ぎが伴います。これらの地形的・植生的な要因から、斜内山の登頂は相応の体力、技術、そして十分な経験が必要とされる、難易度の高いものとされています。安易な気持ちでの入山は危険を伴うため、十分な準備と情報収集が不可欠です。

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