斜里岳道立自然公園

斜里岳道立自然公園

北海道の道立自然公園の中で、最も新しい指定を受けたのが斜里岳道立自然公園です。北海道の東部、斜里郡斜里町、清里町、そして標津郡標津町の広範な区域にまたがっています。この公園の核心となるのは、標高1,547メートルを誇る斜里岳です。

斜里岳の地理的特徴

公園名の由来ともなった斜里岳は、千島火山帯の一部を形成する山です。その位置は、知床連山と阿寒・摩周の火山群という、北海道東部の二大山岳・火山地帯を結ぶ地理的な要衝にあたります。この独特の立地が、公園の自然環境に多様性をもたらす一因となっています。

豊かな生態系

斜里岳道立自然公園は、非常に豊かな生態系を育んでいます。多様な動物や植物が確認されており、訪れる人々に自然との触れ合いの機会を提供します。

動物相

公園内では、様々な種類の鳥類や哺乳類が生息しています。森林エリアでは、アカゲラ、コゲラ、シジュウカラ、ゴジュウカラ、アオジといった森林性の野鳥が活発に活動する様子が観察されます。標高が高くなるにつれて植生が変化し、ウソ、ノゴマ、カヤクグリ、ホシガラスなどの高山性の野鳥が見られるようになります。哺乳類では、大型のヒグマやエゾシカが生息するほか、シマリスやキタキツネといった比較的身近な動物たちの姿も確認できます。これらの動物たちは、公園の多様な環境に適応しながら暮らしています。

植物相

植生もまた、標高に応じて変化に富んでいます。山麓部には、ミズナラ、ハリギリ、トドマツなどを主要樹種とする落葉広葉樹林や、針葉樹との混交林が広大な面積を占めています。登山道沿いでは、夏季を中心に美しい花を咲かせる高山植物が登山者を出迎えます。イワブクロ、キクバクワガタ、サマニヨモギ、タカネナナカマド、チングルマ、チシマノキンバイソウ、ハクサンチドリなどが確認できます。さらに、この地域は植物の隔離分布が見られることでも知られており、フタマタタンポポ、エゾルリソウ、ミヤマアズマギク、タカネシオガマといった貴重な植物が、他地域から隔絶された独自の環境で育まれています。

公園内の景勝地

斜里岳道立自然公園内には、自然の力によって形作られた魅力的な景勝地が点在します。神秘的な雰囲気を湛える仙人洞、変化に富んだ地形が特徴的な熊見峠、そして澄んだ水が美しい龍神の池は、訪れる人々に感動的な風景を提供します。

斜里岳への登山

斜里岳への登山は、公園の重要なアクティビティの一つです。主な登山コースとして、清里町側からの清里コースと、斜里町側からの斜里コース（豊里コースとも称されます）が存在します。

清里コース: こちらのコースは、さらに二つのルートに分かれています。尾根筋を進む新道コースと、沢沿いを遡上する旧道コースがあり、それぞれ異なる自然の魅力と難易度を持っています。清里コースの登山口には、登山者の休憩や宿泊を目的とした山小屋「清岳荘」が整備されています。
斜里コース（豊里コース）: 斜里町側からのルートで、清里コースとはまた違った景観や登山体験を提供します。

これらの登山道を通じて、公園の豊かな自然や雄大な景観を肌で感じることができます。

自然公園としての意義

斜里岳道立自然公園は、北海道東部の貴重な自然環境を保全し、生態系の多様性を守る上で重要な役割を果たしています。また、美しい自然景観や学術的に価値のある動植物の観察、そして登山などのレクリエーション活動を通じて、人々が自然に親しみ、学びを深める機会を提供しています。未来にわたってこの豊かな自然環境を受け継いでいくため、保護と適切な利用の両立が求められています。

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