斡啜

斡啜（オジュ）

斡啜（オジュ、生年不詳 - 皇統8年（1148年））は、金の皇族であり、初代皇帝である太祖阿骨打（アクダ）の四男として生まれました。女真名は兀朮（ウジュ）または烏珠（ウジュ）とも呼ばれ、漢名は宗弼（そうひつ）です。

生涯

元妃烏古論氏（ウグロンし）の子として生まれたオジュは、1125年に叔父である太宗呉乞買（ウキマイ）に従い、従兄の粘没喝（ネメガ、宗翰）と共に北宋の都である開封（かいほう）に攻め入りました。この際、徽宗（きそう）・欽宗（きんそう）父子をはじめとする北宋の皇族や大臣らを捕虜とし、北へと連行しました。

その後、江南に逃れた康王趙構（こうおう ちょうこう、後の高宗）が南宋を建国すると、オジュは叔父である太宗の厳命を受け、長江を越えて追撃を行いましたが、深入りしすぎたため撤退に苦労しました。鎮江（ちんこう）と揚州（ようしゅう）の間で宋の将軍である韓世忠（かんせいちゅう）らの軍勢に敗北を喫しました。1130年には、訛里朶（オリド、宗輔）の陝西（せんせい）平定戦に従軍しましたが、張浚（ちょうしゅん）の前に大敗しました。しかし、翌1131年には再び陝西攻略の作戦を実行し、これを攻略することに成功しました。

1137年、甥である3代皇帝熙宗（きそう）ホラにより、これまでの功績が認められ、瀋王（しんおう）・右副元帥（うふくげんすい）に封じられました。これにより、オジュは金の軍事権を全面的に掌握することとなりました。1138年には、再び南宋への遠征を試み、岳飛（がくひ）・韓世忠らと対峙しましたが、酷暑のため両軍とも撤退しました。その後も都元帥（とげんすい）・太保（たいほ）・領行台尚書省（りょうこうだいしょうしょしょう）を歴任しました。

政治家としての能力も高く評価され、尚書（しょうしょ）・左丞相（さじょうしょう）・侍中（じちゅう）へと昇進し、異母兄である斡本（オベン、宗幹）と共に金の頂点として君臨しました。1140年には、再度南宋に遠征し、今度は河南（かなん）南部を奪回するなどの戦果を挙げました。

1148年に死去すると、熙宗によって、亡兄である斡本と同様に忠烈王（ちゅうれつおう）の諡号（しごう）が贈られ、梁王（りょうおう）に昇格しました。

宗室

妻妾

趙円珠 - 北宋の儀福帝姫（ぎふくていひ）。徽宗の娘。

子女

韓王 孛迭（亨）（ハンオウ ボツテイ（コウ））
寿康公主 蒲剌（ジュコウコウシュ フラ）
習撚（シュウネン）
その他、多数

脚注

参考文献

内藤湖南『中国近世史』岩波書店〈岩波文庫〉、2015年7月。ISBN 978-4-00-381171-9。

関連項目

靖康の変
宋金戦争

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