斯文会

公益財団法人斯文会

公益財団法人斯文会は、東京都文京区に位置する史跡、湯島聖堂の維持管理を主な活動としています。その他にも、孔子祭（釈奠）の挙行、漢文に関する公開講座の開講、学術誌『斯文』の発行など、多岐にわたる活動を展開しています。

会名の由来

「斯文」という会名は、『論語』の子罕篇に由来しており、「儒教」と同義の言葉として用いられています。

歴史

斯文会の歴史は、1918年（大正7年）に遡ります。当時、戦前の教化団体の一つとして、漢学の復興、教育勅語の翼賛、国体精神の普及を目的として創設されました。ただし、国体精神を阻害しない範囲で、大正デモクラシーや個人主義との調和も目指していました。会員は創設以来、服部宇之吉をはじめとする東京大学の中国哲学・中国文学研究室の関係者、そして渋沢栄一をはじめとする二松学舎の関係者が中心となっています。

斯文会の母体となった団体としては、1880年（明治13年）に創設された「斯文学会」があります。斯文学会は、漢学の復興を目的として、宮内庁の支援のもと、岩倉具視、谷干城、川田甕江、重野安繹らによって創設され、各種の講座（斯文黌）を開いていました。しかし、会員の世代交代などにより、斯文学会は大正期には形骸化していました。斯文会は、その斯文学会の復興も兼ねて創設されたという経緯があります。その他にも、斯文会は「研経会」「孔子祭典会」「孔子教会」「東亜学術研究会」なども母体としています。

1923年（大正12年）に関東大震災が発生し、湯島聖堂が消失した際には、斯文会が中心となって「聖堂復興期成会」を組織し、全国に募金を展開しました。その結果、1935年（昭和10年）に再建を果たしました。それ以来、斯文会は政府から湯島聖堂の管理を委託され、戦後の1956年（昭和31年）には、新定の文化財保護法に基づいて、改めて湯島聖堂の管理団体に指定されました。

2019年（令和元年）には、創設100周年を迎え、記念図録の刊行などが行われました。

中心人物

戦前

宇野哲人
塩谷温
服部宇之吉
諸橋轍次
安井小太郎

戦後

加藤常賢
宇野精一
石川忠久
宇野茂彦

関連項目

昌平坂学問所
大塚先儒墓所
漢学
中国学
日本の儒学

もう一度検索