新南陽駅

新南陽駅

新南陽駅（しんなんようえき）は、山口県周南市清水二丁目に位置する、西日本旅客鉄道（JR西日本）と日本貨物鉄道（JR貨物）が共同で利用する山陽本線の駅です。この駅は、かつては周防富田駅（すおうとんだえき）という名前で、地域の貨物輸送の要として機能していました。現在は旅客駅としての役割が主ですが、その歴史は貨物輸送と深く結びついています。

歴史

新南陽駅の歴史は、1926年（大正15年）4月18日に周防富田駅として開業したことから始まります。当時は鉄道省山陽本線の徳山駅と福川駅の間に新設され、旅客と貨物の両方の取り扱いを開始しました。昭和時代に入ると、1947年（昭和22年）には昭和天皇の戦後巡幸の際、お召し列車が三田尻駅（現在の防府駅）から当駅まで運行されました。1976年（昭和51年）には駅舎の改築が行われ、1980年（昭和55年）10月1日に現在の新南陽駅に改称されました。この際、自動化された貨車操車場が完成し、全面的に稼働を開始しています。

1985年（昭和60年）には荷物の取り扱いが廃止され、1986年（昭和61年）には着発線荷役方式が導入されました。1987年（昭和62年）の国鉄分割民営化により、JR西日本とJR貨物の駅となり、1996年（平成8年）には、JR貨物への駅業務委託が解消され、JR西日本広島メンテックへの業務委託駅となりました。同年には、自動化ヤードが休止され、みどりの窓口が開設されました（柳井港駅からの移転）。1997年（平成9年）には、JR貨物の新南陽駅と徳山貨車区などが統合され、新南陽総合鉄道部が設置されました。2004年（平成16年）には窓口の閉鎖時間帯が設けられ、2022年（令和4年）にはJR貨物新南陽総合鉄道部が解消され、同年9月30日にはみどりの窓口の営業が終了、10月1日に無人駅となりました。2023年（令和5年）4月1日からはICカード「ICOCA」の利用が可能となりました。

駅構造

新南陽駅は、島式ホーム1面2線を有する地上駅です。駅舎とホームは跨線橋で連絡しており、バリアフリー対応はされていません。かつての周防富田駅時代には2面3線のホームがありましたが、現在の駅名に変更された際に配線が変更され、単式ホーム1番のりばは廃止され、欠番となっています。その跡地は貨物列車用の側線として利用されており、旅客ホームとしては使われていません。かつては岩徳線の列車が1日に2本乗り入れていましたが、現在は山陽本線のみが乗り入れています。

貨物駅

新南陽駅は、貨物駅としても重要な役割を担っています。コンテナ貨物（12フィートコンテナ、20・30フィート大型コンテナ、20フィートISO規格海上コンテナ）を取り扱っており、車扱貨物も営業設定のみですが存在します。また、産業廃棄物・特別産業廃棄物の取り扱い許可も得ています。

駅構内には、本線北側にコンテナホーム、着発線荷役方式（E&S方式）を採用した着発荷役線、荷役線、仕分線、留置線が設けられています。本線南側には、かつての貨車操車場が広がっています。着発荷役線やコンテナホームは上り本線の外側に位置しており、上り貨物列車は直接入線できますが、下り貨物列車は入換作業が必要です。この入換作業のために、岡山機関区のHD300形ハイブリッド機関車が常駐しています。災害時のトラック代行輸送との連携を強化するため、2022年度から構内改良事業が行われており、2030年度中の完成を目指しています。

輸送障害時の対応拠点機能

山陽本線は、近畿・中国地方において唯一の幹線であり、災害時に迂回ルートの設定が困難です。そのため、新南陽駅はトラックや海運による代行輸送の拠点として整備が進められています。具体的には、コンテナホームの拡張、待機用駐車場の整備、周辺道路の規制緩和、港湾利用の迅速化などが含まれます。これらの対策は、JR貨物の経営基盤を強化する上で不可欠であり、国土交通省や関係機関と連携して進められています。

専用線

新南陽駅の南側には、東ソー株式会社南陽事業所へ続く専用線がありました。かつてはタンク車による化学薬品輸送が行われていましたが、現在はタンクコンテナによる輸送となっています。この専用線は、2007年4月27日をもって運行休止となりました。また、日本ポリウレタン工業株式会社や信越化学工業株式会社（現・信越ポリマー株式会社）の工場、徳山曹達株式会社（現・株式会社トクヤマ）へ至る専用線もありましたが、いずれも廃止されています。

操車場

新南陽駅には、かつて徳山操車場（後の新南陽操車場）が付属していました。1980年10月からはコンピューター制御のリニアモーターカー式ハンプヤードとなり、1984年2月1日のヤード経由方式貨物輸送の廃止後も、仕分け作業のため1996年10月31日まで使用されました。

1985年時の常備貨車

1985年時点では、多数の私有貨車が常備されており、カセイソーダ液、塩酸、リン酸、液化塩素など、様々な化学薬品を輸送していました。これらの貨車は、東洋曹達、徳山曹達、日本ポリウレタン工業などの企業が所有していました。

利用状況

新南陽駅の1日平均乗車人員は、近年減少傾向にあります。しかし、地域住民にとっては重要な交通拠点であり、バス路線も充実しています。

駅周辺

駅周辺では、毎年8月には「サンフェスタしんなんよう」という夏祭りが開催され、多くの人が訪れます。祭りの最後には花火が打ち上げられ、夏の風物詩となっています。

バス路線

新南陽駅前からは、防長交通のバスが運行しており、徳山駅前や鹿野車庫、奥四熊、間上、長田海浜公園、イオンタウン周南久米、粭島、戸田駅前、防府駅前、湯野温泉、柚木河内、高瀬、堀方面へアクセスできます。

隣の駅

西日本旅客鉄道（JR西日本）
■山陽本線
徳山駅 - 新南陽駅 - 福川駅

新南陽駅は、その歴史の中で、地域の発展と物流を支えてきた重要な駅です。現在の無人化や貨物輸送の変化はありますが、今後も地域の交通拠点としての役割を果たしていくでしょう。

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