新熊野神社

新熊野神社の概要

新熊野神社（いまくまのじんじゃ）は、京都市東山区今熊野椥ノ森町にある歴史ある神社です。この神社は、旧社格として村社に位置づけられ、旧称は新熊野社です。また、京都の三熊野の一つとしても知られています。

歴史

新熊野神社の起源は永暦元年（1160年）にさかのぼります。この年、後白河上皇の命を受けて、紀伊国の熊野三山に祀られる熊野権現を本社として勧請し、法住寺殿の鎮守社として建立されました。この創設には、平清盛が大きく関与しており、熊野の信仰の一環として京の地に熊野権現を迎え入れたことが背景にあります。

後白河上皇は生涯にわたって34回も熊野三山を参詣するなど、熊野権現に深い信仰を寄せていましたが、紀伊国は遠く、参詣の回数を重ねることが容易ではありませんでした。そこで、自身の宮殿に近いこの地に熊野権現を勧請したことで、当社は設立され、京での熊野信仰の中心地として栄えました。

室町時代には応仁の乱などの影響で一時衰退したものの、江戸時代に入ると後水尾天皇の中宮、東福門院によって復興されました。特に寛文13年（1673年）に聖護院道寛法親王が本殿を再建したことが、当神社の歴史において重要な出来事とされています。また、永和元年（1375年）には観阿弥、世阿弥の父子が室町幕府の将軍、足利義満の前で猿楽能を披露したことから、ここが「能楽発祥の地」としても知られるようになりました。

京都市内には、熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社に対応する神社が存在し、新熊野神社はその一部として地域の信仰を支えています。

祭神と境内

新熊野神社の主祭神は熊野牟須美命（いざなみのみこと）であり、本地仏には千手観音が祀られています。境内には、本殿の他に拝殿やいくつかの摂社が存在し、それぞれに異なる祭神が祀られています。

• - 本殿 - 京都市指定の有形文化財であり、寛文13年に再建された。
• - 若宮社 - 祭神：天照大神。
• - 上之社 - 祭神：速玉之男大神、熊野家津御子大神。
• - 中之社 - 祭神：天忍穂耳命、瓊々杵尊、彦火火出見尊、鵜葺草葺不合命。
• - 下之社 - 祭神：稚産霊命、軻遇突智命、埴山姫命、弥都波能売命。

特に注目すべきは「樟社」であり、ここには後白河上皇がお手植えした大樟が祀られています。この大樟は樹齢800年を誇り、京都市の天然記念物に指定されています。また、梛の木は1980年に今上天皇が植樹した御神木で、当時まだ樹齢20年でした。

行事と文化財

新熊野神社では、年間を通じて様々な行事が行われています。特に大きな行事には以下のものがあります。

• - 例大祭（神幸祭） - 5月5日
• - 夏越祓・茅の輪くぐり - 6月30日
• - 大楠祭 - 敬老の日
• - 火焚祭 - 11月23日

また、本殿は京都市指定の有形文化財としても保護されています。さらに、例大祭に際しては多くの参拝者が訪れ、地域の人々と共に信仰を深める重要な時期となっています。

交通アクセス

新熊野神社へのアクセスは、京都市営バスを利用し「今熊野」で下車し、徒歩約3分となっています。便利な立地にあるため、観光客や地元の人々にとっても訪れやすい神社です。

結論

新熊野神社は、その豊かな歴史と文化を背景に、多くの人が訪れる地元の信仰の場です。神社の参拝を通じて、過去の歴史や文化を感じると共に、熊野の神々への信仰を深める貴重な体験ができます。

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