新特急

新特急：国鉄時代の特別な特急列車

この記事では、国鉄時代に存在した特急列車「新特急」について詳しく解説します。「新特急」は、上野駅を発着する東北本線、高崎線などを中心に運行されていた列車で、1985年3月14日のダイヤ改正以前から運転されていました。既存の急行列車を格上げする形で誕生し、185系電車を使用していましたが、2002年以降は「新特急」の呼称は使われなくなりました。書籍によっては列車種別として扱われることもありますが、正式には列車愛称の一部です。

新特急に特徴的な点

「新特急」は、それまでの特急列車とは大きく異なる特徴を持っていました。最大のポイントは、自由席中心の編成だったことです。従来の特急列車は指定席が中心でしたが、「新特急」は自由席を多く設けることで、より多くの利用客を受け入れることを可能にしました。また、定期券を持っている客も特急券を購入すれば利用できる仕組みでした。

さらに、50km以内の特急料金は自由席の場合、当時の急行料金と同額に設定されました。これは、東北・上越新幹線との差別化を図るためです。この料金設定は、「新特急」が急行列車の格上げというより、急行列車と同等のダイヤに特急形車両を充当したという位置づけだったことと関連しています。185系電車は、従来の急行形車両（165系など）の内装をボックスシートから転換クロスシートに変えた程度で、新型車両とはいえ、従来であれば急行料金でよかったと考えられるものでした。しかし、1981年から伊豆方面の特急「踊り子」で185系が使用されていたため、急行列車として存続させることができず、特急料金の適用による実質的な値上げを緩和するためにこの料金設定が採用されました。

また、「特急を停車させてほしい」という沿線自治体の要望が多かったことから、停車駅数は従来の急行並かそれ以上となり、地域住民の利便性向上にも貢献しました。

愛称廃止までの経緯

「新特急」の愛称は、いくつかの要因によって廃止されることになります。東北本線で運行されていた「新特急なすの」は、停車駅が類似した快速「ラビット」と差別化が難しく、利用客の伸び悩みから、朝晩の1往復を除き快速「ラビット」に格下げされました。1995年12月には東北新幹線「なすの」の運行開始により、「新特急なすの」は「新特急おはようとちぎ」と「新特急ホームタウンとちぎ」に名称変更されました。

1997年の北陸新幹線高崎駅-長野駅間先行開業により、高崎線を経由していたL特急「あさま」と「白山」が廃止されたことで、高崎線を経由する昼行定期特急列車は「新特急草津」、「新特急水上」、「新特急あかぎ」のみとなりました。そして、2002年12月のダイヤ改正で、「新特急」の呼称は完全に廃止されました。

主要な列車名

「新特急」には、多くの列車名が付けられていました。主な列車名を路線別に挙げると以下の通りです。

宇都宮線（東北本線）方面

「新特急なすの」（上野駅・新宿駅 - 宇都宮駅・黒磯駅間）→「新特急おはようとちぎ」「新特急ホームタウンとちぎ」（新宿駅 - 宇都宮駅・黒磯駅間）

高崎線・上越線方面

「新特急草津」（上野駅 - 万座・鹿沢口駅間）
「新特急谷川」→「新特急水上」（上野駅 - 水上駅間）
「新特急あかぎ」（上野駅 - 前橋駅・渋川駅間）
「新特急ウイークエンドあかぎ」（新宿駅・上野駅 - 前橋駅間）
「新特急ホームタウン高崎」（新宿駅・上野駅 - 高崎駅間）

使用車両

「新特急」に使用されていた車両は、主に185系電車です。「新特急ホームタウン高崎」の一部には、田町電車区（現・田町車両センター）配置の0番台10両編成が使用されたこともありましたが、他の列車は新前橋電車区（現・高崎車両センター）および田町電車区に配置されていた200番台が主に使用されていました。

まとめ

「新特急」は、国鉄時代の特急列車として、自由席中心の編成や独自の料金体系など、従来の特急列車とは異なる特徴を持っていました。新幹線開業などの影響を受けつつ、地域住民の利便性向上にも貢献した存在でした。その歴史と特徴を知ることで、現在の鉄道事情を考える上でも貴重な知見となるでしょう。

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