日本産スミレ属の一覧

日本のスミレ：多様性の宝庫

スミレ属（Viola）は、世界中の温帯地域に約400種が存在し、日本にはそのうち約50種の多年生草本が自生しています。日本の国土は地球全体の陸地のわずか0.3%に過ぎませんが、これほど多様なスミレが生育していることから、「スミレ王国」とも呼ばれています。

スミレの分類と特徴

日本のスミレは、地上茎の有無や花の色、葉の形などによって様々な種類に分類されます。以下に代表的なスミレの仲間を紹介します。

地上茎のあるスミレ

キスミレ類・キバナノコマノツメ類: 黄色の花を咲かせるグループ。キバナノコマノツメ類は、花柱が特徴的です。
シレトコスミレ類: 知床半島に自生する種類。
ツクシスミレ類: 九州地方に多く見られるグループ。
ニョイスミレ類: 小さく可愛らしい花を咲かせます。
オオバタチツボスミレ類: 大きな葉を持つ種類。
ウラジロスミレ類: 葉の裏が白いのが特徴です。
タチツボスミレ類: 日本で最も一般的なスミレの一つ。
イブキスミレ類: 花期には地上茎がなく、花の後に茎を出す種類。
ニオイスミレ類: 香りの良いスミレ。

地上茎のないスミレ

スミレサイシン類: 葉の形が特徴的なグループ。
ウスバスミレ類: 薄い葉を持つ種類。
ミヤマスミレ類: 山地に自生するスミレ。

代表的なスミレの種類

以下に、日本に自生するスミレの代表的な種類をいくつか紹介します。

キスミレ類

キスミレ: 黄色い花が特徴。別名イチゲスミレ、イチゲキスミレ。
ノコギリバキスミレ: 葉に切れ込みがあるキスミレ。
オオバキスミレ: 大きな葉を持つキスミレ。
ミヤマキスミレ: オオバキスミレの高山型。
アラゲキスミレ: 全体的に毛が多いオオバキスミレ。
シロバナオオバキスミレ: 白い花を咲かせるオオバキスミレ。
ナエバキスミレ: 苗場山周辺に分布するキスミレ。
フギレオオバキスミレ: 葉に深い切れ込みが入るオオバキスミレ。
フチゲオオバキスミレ: 葉の縁に毛があるオオバキスミレ。
ダイセンキスミレ: 大山に分布するキスミレ。
エゾキスミレ: 北海道に分布するキスミレ。
フギレキスミレ: 葉に切れ込みがあるエゾキスミレ。
ケエゾキスミレ: 全体的に毛が多いエゾキスミレ。
コバナエゾキスミレ: 小さい花を咲かせるケエゾキスミレ。
トカチキスミレ: 十勝地方に分布するケエゾキスミレ。
シソバキスミレ: 葉の形がシソに似ているキスミレ。絶滅危惧種。
ジンヨウキスミレ: 葉が腎臓のような形をしているキスミレ。絶滅危惧種。

キバナノコマノツメ類

タカネスミレ: 高山に咲くスミレ。花柱の上部が左右に張り出すのが特徴。
エゾタカネスミレ: 北海道に分布するタカネスミレ。
クモマスミレ: 雲間に咲くタカネスミレ。
ヤツガタケキスミレ: 八ヶ岳に分布するタカネスミレ。
キバナノコマノツメ: 日本各地の山地に分布。
ジョウエツキバナノコマノツメ: 上越地方に分布。
オオタカネスミレ: 大きなタカネスミレ。
アカイシキバナノコマノツメ: 赤石山脈に分布。

他のスミレ類

シレトコスミレ
ツクシスミレ
ツボスミレ
タチスミレ
タカネタチツボスミレ
オオバタチツボスミレ
オキナワスミレ
オリヅルスミレ
タチツボスミレ
イブキスミレ
アオイスミレ
スミレサイシン
ウスバスミレ
スミレ

交雑種

スミレは種間で交雑しやすく、多くの交雑種が知られています。これらの交雑種は、両親の特徴を受け継ぎ、多様な形態を示します。

レッドデータリスト掲載種

日本のスミレの中には、絶滅の危機に瀕している種類も存在します。これらの種類は、環境省のレッドデータリストに掲載され、保護の対象となっています。

まとめ

日本は、多様なスミレが生育する「スミレ王国」です。スミレは、その美しい花と多様な形態で、私たちを楽しませてくれます。しかし、近年は開発や環境破壊により、スミレの生育環境が脅かされています。スミレの多様性を守るため、私たち一人ひとりが環境保護に努めることが大切です。

参考文献
いがりまさし『増補改訂 日本のスミレ』山と溪谷社、2008年
佐竹義輔、大井次三郎、北村四郎 他『日本の野生植物 草本II離弁花類』平凡社、1999年

外部リンク
米倉浩司・梶田忠 (2003-) 「BG Plants 和名−学名インデックス」（YList）
* 日本のレッドデータ検索システム「スミレ」

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