日本資本主義発達史講座

日本資本主義発達史講座

日本資本主義発達史講座（にほんしほんしゅぎはったつしこうざ）は、1932年から1933年にかけて岩波書店によって発刊された、資本主義の歴史、経済、社会、文化を総合的に研究する書籍です。主要な執筆者には、野呂栄太郎、服部之総、羽仁五郎、平野義太郎、山田盛太郎などが含まれ、特に彼らはマルクス主義の立場から日本の資本主義の発展を研究し、その成果をまとめました。全7巻からなるこの講座は、当時の社会科学研究者に対して大きな影響を与え、多くの議論を引き起こしました。

歴史的背景

本書は、日本共産党の32年テーゼと同様の認識を示しており、特に天皇制廃止を通じてブルジョワ民主主義革命から社会主義へ移行することを展望しています。検閲や発行禁止が頻繁に行われていたにもかかわらず、この研究は当時の思想的流れや社会的運動に強く影響を与えました。この講座は「講座」と略称され、社会主義革命を提唱する向坂逸郎とは対立する立場であり、向坂らは「労農派」と呼ばれ、講座の執筆者は「講座派」と称されました。

各巻の概要

この講座は数つの巻に分かれており、それぞれ異なるテーマに沿った内容が取り扱われています。

• - 第1巻: 明治維新史に関する詳細な考察を行い、幕末の社会経済状況や階級闘争、政治的支配の形態について触れています。
• - 第2巻: 明治維新における多様な変革、特に制度の変革や農業、商工業の発展について分析しています。
• - 第3巻: 資本主義発達史の第1部として、農業や工業における資本主義の初期の形態、交通機関の発展、金融業の進展などが論じられています。
• - 第4巻: 農民と労働者の状態、文化運動の歴史など、社会運動の側面に焦点を当てています。
• - 第5巻: ブルジョア民主主義運動や政党史、法律制度の変遷について検討しています。
• - 第6巻: 帝国主義的な状況下における国際的および国内の政治・経済情勢について分析しています。
• - 第7巻: 本書全体の資料解説として、関連文献や歴史資料についての詳細な考察がまとめられています。

このように、各巻はそれぞれ異なる視点から日本の資本主義の発展を多角的に探求しています。この講座は、単なる歴史書に留まらず、社会科学的な議論を興す重要な文献となっており、日本における資本主義の意味を深く考察するための重要な資料となります。

影響と評価

日本資本主義発達史講座は、日本におけるマルクス主義的な思想の普及に寄与し、社会科学の研究者や活動家たちに多大な影響を与えました。特に、資本主義とその発展に対する批評的視点を提供することで、後の研究や運動においても貴重な参考資料となっています。

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