日本館

浅草の劇場、映画館「日本館」の歴史

開業から浅草オペラ時代

1883年（明治16年）10月、東京市浅草区公園六区二号地（現在の東京都台東区浅草2丁目5番）に「日本館」は開業しました。当初は娘都踊り（都をどり）で知られ、浅草の興行街で人気を集めました。1909年（明治42年）5月には、六区四号地南側の新畑町（現在の浅草1丁目24番）に移転し、跡地は映画館「オペラ館」となりました。その後、1917年（大正6年）に「日本館」は浅草初のオペラ常設館へと転換します。経営者の桜井藤太郎が、当時人気を集めていた三友館の東京少女歌劇団に刺激され、歌舞劇協会の高木徳子と伊庭孝の協力を得て、オペラ劇団「東京歌劇座」を旗揚げしました。東京蓄音器（現在の日本コロムビア）の佐々紅華が、石井漠、杉寛、沢モリノ、河合澄子らと結成したこの劇団の公演は、浅草の興行街を席巻し、向かいの金竜館と人気を二分するほどでした。特に沢モリノと河合澄子の人気は凄まじく、「ペラゴロ」という言葉まで生み出されるほどでした。

大正時代の映画館へ

1920年（大正9年）8月14日、「日本館」は映画専門館に変わりました。当初は帝国キネマ演芸のフラッグシップ館として機能しましたが、1923年（大正12年）9月1日の関東大震災で大きな被害を受けました。しかし、復興後には、直木三十五が設立した聯合映画芸術家協会、志波西果の日本映画プロダクション、月形陽候のツキガタプロダクションなど、多くの独立プロダクションの作品を封切り上映する映画館として、1927年（昭和2年）頃まで隆盛を極めました。

戦後の変遷

1928年（昭和3年）には大倉土木（現在の大成建設）によって改築され、1980年代末に解体されるまで使用されました。1935年（昭和10年）頃には松竹に経営が移り、松竹洋画興行の二番館となりました。第二次世界大戦後は、セントラル[[映画社]]（CMPE）が配給するアメリカ映画を上映するアメリカ映画専門館となりました。当時も松竹の直営館であり、支配人は松田直次郎、観客定員数は668名でした。しかし、セントラル[[映画社]]は1951年（昭和26年）12月27日に解体されました。

成人[[映画]]館から閉館へ

1970年代以降は、松竹系の成人[[映画]]製作会社・東活株式会社の作品を上映する映画館となり、1980年代末、あるいは1990年前後に閉館、解体されました。跡地はTOCに売却され、ROX2Gとなっています。

その他の日本館

浅草の日本館以外にも、大正末期から昭和初期にかけて各地に日本館が存在していました。池袋、町屋、堀切、呉市、倉吉町などに同名の映画館があり、当時の映画文化の一端を担っていました。

参考文献

『映画年鑑 1951』、時事通信社、1951年発行
『映画年鑑 1953』、時事通信社、1953年発行

関連項目

オペラ館
セントラル[[映画社]]
松竹
東活

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