オペラ館

オペラ館（1909年 - 1944年）

オペラ館は、明治から昭和にかけて東京・浅草に存在した映画館、そして劇場でした。その歴史は、浅草のエンターテイメントの隆盛と変遷を映し出す鏡とも言えるでしょう。

略歴

1909年（明治42年）5月、オペラ館は浅草公園六区二号地、かつて日本館があった場所に開館しました。こけら落としでは、M・パテー商会が製作・配給した映画『楠正成』が上映され、以降、同社の作品を数多く上映するフラッグシップ館としての役割を担いました。

1910年（明治43年）からは、吉沢商店のフラッグシップ館となり、『明治曾我』などの作品を上映しました。1912年（大正元年）には、M・パテー、吉沢商店、福宝堂、横田商会が合併し、日本活動写真株式会社（現在の日活）が誕生。オペラ館も日活の所有となり、向島撮影所が製作する作品を中心に上映するようになりました。

1923年（大正12年）9月1日、関東大震災が発生し、浅草は壊滅的な被害を受け、オペラ館も倒壊しました。しかし、その後再建され、マキノ[[映画製作所]]が作品を供給するなど、復興に向けて歩みを進めます。

1931年（昭和6年）12月16日には、新築オープンを果たし、榎本健一と二村定一が率いる軽演劇団『ピエル・ブリヤント』の旗揚げ公演が行われました。しかし、1932年（昭和7年）7月、「ピエル・ブリヤント」は松竹と契約し、フランチャイズ劇場を松竹座に移しました。

1938年（昭和13年）には、永井荷風が脚本、菅原明朗が音楽を手がけたオペラ『葛飾情話』が上演されるなど、演劇の分野でも注目を集めました。

しかし、1944年（昭和19年）3月31日、オペラ館は強制的に取り壊され、その歴史に幕を閉じました。跡地は複数の商店に分割され、現在に至っています。

オペラ館は、映画、演劇、軽演劇など、様々なエンターテイメントを提供し、浅草の文化を彩った劇場でした。その存在は、日本の大衆文化史において重要な意味を持っています。

参考文献

『断腸亭日乗』、永井荷風、岩波書店、1987年7月 ISBN 400310420X

関連事項

日本館
* ピエル・ブリヤント

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