日野開三郎

日野開三郎について

日野開三郎（ひの かいざぶろう、1908年5月11日 - 1989年9月29日）は、昭和時代の東洋史学者として重要な役割を果たしました。彼は1958年に学位論文『小高句麗国の研究』を提出し、文学博士の学位を取得しています。日野は愛媛県伊予郡で生まれ、その後松山中学校と松山高等学校を経て、東京帝国大学の文学部東洋史学科に進学しました。彼の指導教員には池内宏、和田清、加藤繁がいました。1931年に大学を卒業後、府立第九中学で教員を務め、1935年からは九州帝国大学法文学部に配属されました。

研究の特筆すべき点

日野は、昭和10年代から社会経済史の手法を東洋史の研究に取り入れ、中世中国における政治、経済、社会史の分野で知られるようになりました。特に、彼は靺鞨、渤海、女真といった民族史の研究も行っており、東アジア史に関する幅広い知識と研究結果を残しました。彼の研究スタイルは、唐代や宋代の基礎的な経済構造や政策を詳細に分析することで評価され、「日野史学」として知られるほどの影響力を持ちました。

戦後の活躍

戦後、日野は九州帝国大学において教授に昇格し、1972年までその職を全うしました。また、1972年に九州大学を退官した後は久留米大学の商学部で教授を務め、1984年まで教育に貢献しました。彼はさらに日本学術会議の会員としても活躍しました。1968年には日本学士院賞を受賞し、1979年には勲二等瑞宝章を受章するなど、彼の業績は広く認められています。

主な著作と成果

日野開三郎の研究は、多くの著作としてまとめられています。代表的な作品には『中世支那の軍閥－唐代藩鎮の研究』や『唐代邸店の研究』などがあります。特に『唐代邸店の研究』は1968年に日本学士院賞を受賞しており、彼の研究の中でも特に重要な位置を占めています。日野はまた、全20巻から成る『日野開三郎 東洋史学論集』の編纂にも取り組みましたが、彼の死後に1996年に完結を見ました。

結論

日野開三郎は、戦後の東洋史学において先駆的な存在であり、彼の研究は今もなお多くの学者に影響を与えています。中世中国の複雑な社会構造や経済制度に関する彼の洞察は、今後の研究にとっても重要な指針となることでしょう。彼の業績は歴史学の発展に寄与し、現在も歴史学界で高く評価されています。日野は1989年に逝去しましたが、その学問的な遺産は永遠に残り続けるでしょう。

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