日高亮

日高 亮

概要

1990年7月19日、大分県佐伯市に生まれた日高 亮（ひだか りょう）は、かつてプロ野球の舞台で活躍した左投げ左打ちの投手です。

経歴

プロ入り前

野球への扉を開いたのは、佐伯市立色宮小学校の5年生の時。地元の色宮少年野球クラブで投手のポジションに立ち、野球の基礎を学び始めました。佐伯市立米水津中学校時代には、軟式野球部に所属し技を磨きました。高校は日本文理大学附属高等学校に進学。1年生の秋から早くもベンチ入りを果たすと、2年生秋の県南リーグではノーヒットノーランを達成するなど頭角を現します。

3年生となった2008年春、チームは34年ぶりに大分県大会で優勝を飾りますが、続く九州大会では惜しくも初戦で敗退。大分大会の初戦となった2回戦の大分高校戦では、初回に3安打で2点を失う立ち上がりだったものの、2回以降は相手打線を無安打に抑え、13個の三振を奪う快投を見せました。この試合で自己最速となる144km/hをマークしましたが、チームは次の3回戦で敗れ、惜しくも甲子園出場は叶いませんでした。

高校卒業を控え、2008年度のプロ野球ドラフト会議で東京ヤクルトスワローズから4位指名を受け、プロへの道に進みます。契約金は3500万円、推定年俸は480万円という条件でプロ野球選手としてのキャリアをスタートさせました。

東京ヤクルトスワローズ時代

プロ入り最初の年、2009年は二軍での育成期間となりました。5月14日にはイースタン・リーグの読売ジャイアンツ戦で二軍公式戦に救援投手として初登板。7月7日には東北楽天ゴールデンイーグルス戦で二軍での初先発を経験し、9月14日の同カードでは二軍初勝利を挙げました。この年は中継ぎとして好成績を残す一方、先発としては苦戦しました。

2年目の2010年も一軍登板は叶いませんでしたが、開幕から二軍戦に出場。しかし5月9日以降、左肘の骨髄浮腫に悩まされ長期離脱を余儀なくされます。8月4日の埼玉西武ライオンズ戦で実戦復帰を果たし、以降はリリーフとして登板を重ねました。故障前と後で成績に差が見られましたが、10月のみやざきフェニックスリーグでは、中日ドラゴンズの主力打者相手に好投を見せ、そのポテンシャルを示しました。

転機となったのは2011年。春季キャンプで初めて一軍に招集され、オープン戦では結果を残せませんでしたが、開幕一軍入りを果たします。4月12日の読売ジャイアンツ戦でプロ初登板。先頭打者から三振を奪うも、後続に安打と四球で満塁のピンチを招き、失点を許して途中降板となります。4月15日の横浜ベイスターズ戦ではホールド機会で登板しましたが、金城龍彦選手に逆転スリーランホームランを浴び、救援失敗を喫するなど苦い経験も。しかし、二軍での調整期間を経て復調し、9月には一軍へ再昇格。9月10日の阪神タイガース戦でプロ初ホールドを記録。そして9月27日、本拠地・明治神宮野球場での阪神戦で、同点の展開から登板し無失点で凌ぐと、味方打線が満塁ホームランなどで大量援護。プロ入り後初めての勝利投手の権利を得て、そのままシーズン初勝利を挙げました。この年、日高氏は主に僅差のビハインド場面などでワンポイントリリーフとして起用され、シーズン2勝目を記録するなど存在感を示しました。

プロ入り後最高のシーズンとなったのは2012年です。開幕からレギュラーシーズン終了まで一軍に帯同し、主に中継ぎとしてフル回転。チーム最多、リーグでも4位となる66試合に登板し、3勝15ホールド、防御率2.98という自己最高の成績を残しました。特に、ランナーを背負った場面での登板が多く、その状況からの生還率を低く抑える粘り強い投球を見せました。4月前半は不調も見られましたが、4月19日の阪神戦でクリーンナップを連続三振に仕留めたことを機に復調。10試合連続無失点を達成し、中継ぎ陣の一角として完全に定着しました。一方で、5月19日のオリックス戦では、後続投手が打たれたことでプロ入り初黒星を喫します。この年は、3連投以上を5度経験し、特に6月下旬から7月上旬にかけて9連投、その後も短い間隔で5連投するなど、厳しい起用が続きました。

2013年は開幕一軍で迎えたものの、わずか2試合の登板で左肘痛により二軍へ降格。精密検査の結果、軽度の左肘靭帯損傷と診断されました。リハビリと二軍での調整を経て、6月には実戦復帰。二軍では先発としても試されるなど、復調を目指しました。2014年も左膝負傷で離脱した選手の代替として一軍に昇格する機会がありましたが、登板は1試合のみ。これがヤクルトでの最後の一軍登板となりました。

福岡ソフトバンクホークス時代

2014年7月20日、日高氏は新垣渚投手、山中浩史投手とのトレードで、チームメイトだった川島慶三選手と共に福岡ソフトバンクホークスへ移籍します。背番号は「40」に変更となりました。移籍後すぐにウエスタン・リーグで好投を見せ、8月15日には一軍へ昇格。オリックス戦でソフトバンクでの初登板を果たしましたが、失点に絡む形となり、この1試合で再び二軍へ降格。ホークスの一軍では定着できませんでした。二軍では短いイニングでの中継ぎとして、防御率1点台と安定した成績を残しました。

2015年は一軍での登板機会を得られず、このシーズン限りで球団から戦力外通告を受け、ホークスを退団することとなりました。

退団後

プロ野球選手としての道を模索し、2015年11月10日に行われた12球団合同トライアウトに参加しました。シートバッティング形式で行われたこのテストでは、打者3人を相手に無失点に抑える投球を見せました。

プレースタイル

日高氏の投球フォームは、球の出所が見えにくいバランスの良さが特徴でした。小さめのテイクバックから柔らかく腕を振ることで、打者からは角度があり、キレ味鋭いストレートが速く感じられました。最速は145km/hを記録し、平均でも約139km/hという力強い球質でした。ストレートにカーブを効果的に織り交ぜて打者のタイミングを外し、追い込んでからはスライダーやフォークボールといった変化球で三振を奪う左腕でした。その他にもチェンジアップやシュートも持ち球としていました。高校時代の監督からは、マウンド上での気持ちの波が表情に出やすいタイプだったという評価もされています。学生時代には遠投110メートル、50メートル走6秒5という高い身体能力も持ち合わせていました。

人物

学生時代は漁師である父が操る漁船「日新丸」に乗り込み、潮流の速い豊後水道での漁を手伝っていた経験があります。この漁での過酷な作業が、日高氏の強靭な足腰を鍛え上げたと言われています。プロ指名後の記者会見では、目標とする選手として工藤公康氏を挙げ、大分県出身の選手としては内川聖一氏の名前を挙げました。少年時代は福岡ソフトバンクホークスのファンであり、小学生の頃には福岡ドームの外野席でプロの試合を観戦していたと語っています。

詳細情報

記録
初登板：2011年4月12日、対読売ジャイアンツ1回戦（宇部市野球場）
初奪三振：同上、対読売ジャイアンツ戦で坂本勇人から
初ホールド：2011年9月10日、対阪神タイガース15回戦（明治神宮野球場）
初勝利：2011年9月27日、対阪神タイガース17回戦（明治神宮野球場）

背番号
45（2009年 - 2014年途中）
40（2014年途中 - 2015年）

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