普済寺 (舟山市)

普済寺

普済寺（ふさいじ）は、中華人民共和国浙江省舟山市普陀区に位置する著名な仏教寺院です。ここは中国の観音霊場である普陀山を代表する寺院であり、「普陀山第一の寺院」とも称されています。普陀山自体が中国四大仏教名山の一つとして数えられており、その中でも普済寺は特別な存在感を放っています。

歴史

普済寺の起源は、日本僧の恵萼（えがく）によって創始された不肯去観音院（ふけんきょかんのんいん）であると伝えられています。

五代十国時代の呉越国（915年 - 921年）の貞明年間には、寺院の規模が拡大し、正式な寺院としての地位を確立しました。北宋時代の元豊3年（1080年）には、宝陀寺（ほうだじ）と改称されています。この宋代の改名については、「五台円光寺」と「宝陀観音寺」という記録も残っています。嘉定7年（1214年）には、寧宗（ねいそう）から「円通宝殿（えんつうほうでん）」の額を賜りました。

明代に入ると、洪武年間（1368年 - 1398年）に中央政府が海禁政策を実行。派遣された湯和（とうわ）によって寺院の仏殿が焼かれ、仏像は寧波（ニンポー）の棲心寺（せいしんじ）に移されました。しかし、弘治元年（1488年）には寺院が再建されています。嘉靖年間（1522年 - 1566年）には、全国的な道教振興と仏教廃止の動きの中で、一時廃寺となりました。万暦33年（1605年）には、万暦帝（ばんれき）が宦官の張随（ちょうずい）を派遣し、霊鷲峰（りょうじゅほう）の下に宝陀観音寺を再興。「護国永寿普陀禅寺（ごこくえいじゅふだぜんじ）」の名を賜りました。

清代の康熙8年（1669年）には、オランダの侵入によって寺は全焼してしまいますが、康熙38年（1699年）に大規模な再建が行われました。この際、康熙帝から「普済群霊（ふさいぐんれい）」の額を賜り、「普済禅寺」と改称されました。雍正9年（1731年）には、堂宇や殿堂、部屋が増築され、現在見られる壮大な伽藍が形成されました。

伽藍

普済寺には、数多くの歴史的な建造物が現存しています。

天王殿（てんのうでん）：康熙30年（1691年）に再建された建物です。
円通殿（えんつうでん）：康熙32年（1693年）に再建されました。
蔵経楼（ぞうきょうろう）：康熙36年（1697年）に再建された経典を収める建物です。
景命殿（けいめいでん）：康熙36年（1697年）に再建されました。
霊応殿（れいおうでん）：康熙年間（1662年 - 1722年）に建立された建物です。
関帝殿（かんていでん）
地蔵殿（じぞうでん）
普賢殿（ふげんでん）
先覚堂（せんかくどう）
不肯去観音院（ふけんきょかんのんいん）：1980年に、唐代に普陀山へ観音をもたらした日本僧、恵萼の功績を記念して建立されました。
潮音亭（ちょうおんてい）
南海観音銅像（なんかいかんのんどうぞう）：1997年10月30日に完成した、高さ19.4mの観音像です。
鐘楼（しょうろう）
鼓楼（ころう）
配殿（はいでん）
客房（きゃくぼう）

主な住僧

普済寺は、多くの著名な僧侶を輩出してきました。

恵萼（えがく）：開山祖師
丹霞子淳（たんかしじゅん）
真歇清了（しんけつせいりょう）
祖照道和（そしょうどうわ）
天童宗玨（てんどうそうかく）
雪竇智鑑（せっちょうちかん）
天童如浄（てんどうにょじょう）
愚渓如智（ぐけいにょち）
道元（どうげん）
史浩（しこう）
淡斎（たんさい）
真表（しんぴょう）
通元照機（つうげんしょうき）
潮音通旭（ちょうおんつうきょく）

参考書目

普済寺に関する研究には、以下の文献が参考にされています。

『入唐求法巡礼行記』
『日本文徳天皇実録』
『仏祖統紀』
『真歇清了禅師語録』
『補陀洛迦山伝』
『普陀洛迦新志』
『普陀列祖録』
『重修普陀山志』

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