景山龍造

景山龍造（かげやま りょうぞう）

景山龍造は、文化14年（1817年）に生まれ、明治5年（1872年）に没した幕末の鳥取藩士であり、儒学者としても知られています。幼名は礼太郎、諱は守正、字は雍卿、号は道村と称しました。死後、従五位を追贈されています。

生涯

幼少期から青年期

文化14年（1817年）4月、龍造は会見郡中野村（現在の鳥取県境港市中野町）で、医者であり儒学者でもあった景山粛（木島立碩）の子として生を受けました。父・粛は優れた教育者であり、龍造は幼い頃から学問に親しむ環境に育ちました。

16歳で鳥取の芝田温に、18歳で大坂の摩島松南に師事し、学問の基礎を築きました。20歳になると江戸に遊学し、昌平黌で学び、その後、梁川星巌の塾に入門して詩を学びました。

天保13年（1842年）には京へ移り、吉益北州の門下で医学を学びました。幅広い学問領域に触れ、知識を深めていったことがわかります。

儒学者としての活動

弘化元年（1844年）、龍造は三条実万にその才能を見出され、儒者として身を立てることを勧められました。これにより、公子の侍読となり、2年間務めました。その後、大坂堂島に塾を開き、後進の育成に尽力しました。

安政元年（1854年）には、鳥取藩に召し抱えられ、藩校尚徳館の教授に任じられました。これにより、武士の身分を得て、藩政にも関与することとなります。

幕末の動乱期

文久2年（1862年）には、探索係として入京し、朝廷と藩庁の間を周旋する役割を担いました。幕末の政情不安な時期に、重要な任務を果たしていたことが窺えます。

慶応4年（1868年）には、学校文場学正格式諸奉行として、隠岐鎮撫の責を果たしました。戊辰戦争における鳥取藩の動向に関与し、地域社会の安定に貢献しました。

明治維新後

明治5年（1872年）5月、龍造は教部省に出仕を命じられましたが、翌月には辞任しました。その理由については明確な記録は残っていませんが、新政府の方針との相違や、体調の問題などが考えられます。

同年8月18日、東京猿楽町にて亡くなりました。墓は境港市中野町正福寺の北側にある景山家の墓地にあります。大正13年（1924年）2月11日には、その功績を称えられ、従五位が追贈されました。

史料

景山家には、龍造に関する貴重な史料が残されています。

初代木島立碩墓碑: 粛が養父のために刻んだ石碑には、景山家の先祖に関する記述があり、そのルーツを知る手がかりとなります。
影山日記: 寛政6年（1794年）に記された日記には、景山家の先祖である景山道観に関する記述や、後醍醐天皇が立ち寄ったとされる伝承が記されています。
家譜・景山道遠家: 景山家の家系図であり、先祖である景山道観から龍造の父・立碩までの系譜が記されています。後鳥羽帝が隠岐へ遷幸する際に、景山家が宿を提供したという伝承も残されています。

参考文献

『鳥取県百傑伝』昭和45年、535-543頁
『境港市史 上巻』昭和61年、438-448頁
『境港市史 下巻』昭和61年、169-170頁

関連人物

門脇重綾
三条実万
三条公睦
三条実美
松田道之
梁川星巌

景山龍造は、幕末という激動の時代に、儒学者、武士として多岐にわたる分野で活躍しました。彼の業績は、鳥取藩の歴史だけでなく、日本の近代化にも少なからず影響を与えたと言えるでしょう。

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