月山日和城

月山日和城（がっさんひわじょう）

月山日和城は、宮崎県都城市高城町にあった山城で、別名として「高城」とも呼ばれています。この城は、日向国内に点在した他の高城（新納院・高城、穆佐院・高城）と区別するため、「日向三高城」の一つとして数えられています。

歴史

14世紀中頃、肝付兼重によって築かれた「三俣院兼重本城」が起源とされています。ただし、その正確な場所については諸説があり、高城町石山の「三俣城」をその前身とする説も存在します。

肝付兼重は、南朝方としてこの城に錦の御旗を掲げ、北朝方の畠山軍と激戦を繰り広げましたが、1339年に力尽き落城しました。その後、城は日向国守護職の畠山直顕の手に渡り、その頃から「高城」や「月山日和城」と呼ばれるようになりました。畠山氏の後、和田氏、そして島津氏の居城となりますが、1495年には伊東氏の所領となりました。

その後、都城の北郷忠相が47年もの歳月を費やして伊東氏を駆逐し、この城を居城としました。戦国時代末期には伊集院氏の支配下となり、庄内の乱の際には激戦地となりました。乱後、再び北郷氏の所有となりますが、1615年の一国一城令により、戦火を経験したこの城も廃城となりました。

このように、月山日和城は、南北朝の争乱から戦国時代、そして庄内の乱まで、約260年もの間、三俣千町と称された肥沃な土地の要として、幾度となく戦火に見舞われた歴史を持つ、全国的にも珍しい山城です。

構造

現在の城の構造は、戦国時代に完成されたものと考えられています。後方のシラス台地から突出した要害の地に、空堀で区切られた池の城、内の城、真城、本城、中の城、樽原、取添の7つの曲輪が配置されており、総面積は約4ヘクタールに及びます。伊東氏が城を支配していた時代には、ここが中心的な城として機能し、山之口城、松尾城、梶山城、勝岡城、小山城、野々美谷城、下ノ城などの支城を従えた、扇形の雄大な構えでした。

近現代

昭和10年（1935年）には、陸軍特別大演習の際に野外統監部が置かれ、昭和天皇が訪れました。また、昭和14年(1939年)には、作家の井伏鱒二が宮崎県に招待された際、この城を訪れ、その体験をもとに「月山日和城」という作品を著しました。

現在

現在、城跡の「池の城」の空堀部分には、高城郷土資料館が建てられています。この資料館では、地域の歴史や文化に触れることができ、月山日和城の歴史と構造について学ぶことができます。

まとめ

月山日和城は、その歴史的な背景と独特な構造から、日本の城郭史において重要な位置を占めています。幾多の戦乱を乗り越え、その姿を現代に伝えるこの城は、訪れる人々に深い歴史の息吹を感じさせてくれるでしょう。

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