畠山直顕

畠山直顕：南北朝時代の武将、激動の生涯

畠山直顕（はたけやま ただあき）は、南北朝時代に活躍した武将です。足利氏の一門である畠山氏の出身で、父は畠山宗義、兄に宗生、宗国、頼継がいます。また、子に宗泰がいます。通称は畠山七郎、官途は修理亮、治部大輔で、初名は義顕（よしあき）、別名として直滋（ただしげ?）という名も伝わっています。

九州での活躍と変節

当初、直顕は室町幕府の命を受け、九州の鎮定に尽力しました。建武年間、足利尊氏が九州に滞在していた際、直顕は日向に下向し、南九州の宮方勢力討伐を命じられました。直顕は、国冨荘の土持氏や日下部氏などを幕府方に引き入れ、武力で宮方勢力を掃討しました。建武5年（1338年）には伊東祐広や野辺盛忠を、翌年には三俣院の肝付兼重を帰服させるなど、目覚ましい活躍を見せました。

しかし、直顕はその後、尊氏から離れ、その弟である足利直義に接近します。暦応3年から4年の間に「義顕」から「直顕」に改名したことがその証左とされ、この「直」の字は直義から偏諱を受けたものと考えられています。直顕の甥である畠山直宗も直義の側近となっており、この頃から直顕一族は直義派としての色を強めていったことが窺えます。

日向守護としての台頭と没落

康永4年（1345年）には、幕府から日向守護に任ぜられ、大隅にまで影響力を拡大しました。この勢力拡大は、薩摩の島津貞久との間で抗争を引き起こす要因となります。直顕は次第に幕府の意向を無視するようになり、領国形成に意欲を見せ始めます。観応の擾乱が起こると、直顕は足利直冬方につき、幕府から離反しました。

しかし、延文2年（1357年）の志布志城の合戦で島津氏久に敗れ、勢力を大きく後退させます。さらに、懐良親王を擁する菊池武光の遠征軍に大敗したことは、直顕にとって致命的な打撃となりました。この敗北によって、国人層からの支持を失った直顕は急速に衰退し、翌延文3年（1358年）には豊後方面へ逃走しました。その後、直顕の消息はほとんど不明となります。

その後の畠山氏

後日、前日向守の畠山某が応永21年（1414年）に越中で没したという記録が残っています。この人物は、直顕の子孫である可能性が指摘されています。また、この系統は室町幕府外様衆の畠山日向守家と見なされており、彼らが「泰」の字を通字としていることから、直顕・宗泰父子の血筋を引いていると考えられています。

畠山直顕は、その生涯を通して激動の時代を駆け抜けました。室町幕府の成立から南北朝の動乱期にかけて、その勢力と運命は目まぐるしく変化しました。九州という遠隔地で、中央の動向に翻弄されながらも独自の道を模索した直顕の姿は、当時の武将たちの生き様を象徴していると言えるでしょう。

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