朝椋神社

朝椋神社：歴史と信仰が息づく和歌山市の社

和歌山県和歌山市鷺ノ森明神丁に鎮座する朝椋神社は、古くから地域の人々に信仰を集める神社です。その歴史は古く、平安時代中期に編纂された『延喜式神名帳』にも紀伊国名草郡の神社として記載されており、式内社として認められています。

祀られる神々

主祭神は大国主命（おおくにぬしのみこと）です。大国主命は、国造りの神として広く知られており、縁結びや商売繁盛にご利益があるとされています。一方で、『神名帳考証』には、高知県高知市の朝倉神社と同様に、天石帆別命（あめのいしばなわけのみこと）を祭神とする説も紹介されています。

激動の時代を生き抜いた神社

朝椋神社の歴史は詳らかではありませんが、文献によると、寛弘2年（1005年）には摂社の修葺が行われ、その後も永徳2年（1382年）、応永18年（1411年）、永享10年（1438年）、康正3年（1457年）、永正年間（1504年～1521年）と幾度も造営や修繕が繰り返されてきました。天正年間（1573～1592年）の兵火によって社領を失うなど、幾多の困難を経験しています。

文禄5年（1596年）には和歌山城代・桑山重晴によって再建されましたが、万治2年（1659年）に再び焼失。翌年には紀州徳川家によって復旧されました。享保8年（1723年）の『鷺森神社記』には、式内社である朝椋神社の所在が不明となっていたものの、延宝年間（1673～1681年）に和歌山藩の儒者・李梅渓が、それまで「顕国社」と呼ばれていた当社を式内社である朝椋神社と比定し、社名を現在の「朝椋神社」に改称したと記されています。

明治時代には近代社格制度において村社に列せられました。第二次世界大戦中の和歌山大空襲で社殿は焼失しましたが、昭和35年（1960年）に再建され、現在に至っています。

境内とアクセス

境内には、神明神社や子守勝手社など、いくつかの摂末社が鎮座しています。

所在地は和歌山県和歌山市鷺ノ森明神丁22番地です。交通アクセスは、JR西日本・南海電車の和歌山市駅から徒歩約7分、または和歌山バスの宇治停留所から徒歩約3分と、比較的アクセスしやすい場所にあります。

歴史と現代が調和する場所

朝椋神社は、長い歴史の中で幾度となく困難を乗り越え、現在も地域の人々の信仰を集める存在です。古文書や記録から読み解かれる歴史と、現代に受け継がれる信仰が調和する、静かで神聖な空間となっています。和歌山市を訪れた際には、ぜひ朝椋神社に足を運んで、その歴史と雰囲気を感じてみてください。

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