木内信敬

木内信敬（きうち のぶゆき、1917年11月8日 - 1997年8月7日）は、日本のアメリカ文学者であり、千葉大学の名誉教授でした。彼の学術的な業績は多岐にわたりますが、特に日本におけるジプシー（ロマ）研究の先駆者として知られています。

略歴

木内信敬は、1917年に東京府東京市本郷区（現在の東京都文京区）で生まれました。1940年に東京帝国大学英文科を卒業後、学問の道を歩み始めます。1950年からは千葉大学で助教授として教鞭を執り、1968年には教授に昇任しました。1981年に千葉大学を定年退官し、名誉教授の称号を受けました。退官後も研究活動を続け、1983年からは東洋女子短期大学の教授として、1991年からは学長として教育に貢献しました。1994年には、長年の教育・研究活動が認められ、勲三等旭日中綬章を受章しました。しかし、1997年8月7日、膵臓癌のため逝去されました。

業績

木内信敬の専門はアメリカ文学でしたが、彼の最も重要な業績は、日本におけるジプシー研究の先駆けとなったことです。彼は、ジプシーの文化、歴史、社会に関する研究を精力的に行い、その成果を著書や翻訳を通じて広く紹介しました。彼の研究は、当時日本ではまだほとんど知られていなかったジプシーという少数民族に対する理解を深める上で、非常に重要な役割を果たしました。

著書

『青空と草原の民族 変貌するジプシー』（白水社、白水叢書、1980年）
『ジプシーの謎を追って』（筑摩書房、ちくまプリマーブックス、1989年）
『総合研究アメリカ』（実教出版、1992年）（共著）

翻訳

ジャック・ロンドン『絶望の青春』（斎藤数衛共訳、新鋭社、1956年）
マッキンレー・キャンター『勇者よ永遠に』（堀川徹夫共訳、荒地出版社、現代アメリカ文学全集4、1957年）
セオドア・ドライサー『亡き妻フィービ・アルバーティン』（斎藤光共訳、南雲堂、双書・20世紀の珠玉、1960年）
ノーマン・メイラー『この世で一番すばらしいもの』（荒地出版社、現代アメリカ文学選集6、1968年）
エリザベス・サザーランド編『閉ざされた社会 アメリカ深南部からの報告』（サイマル出版社、1969年）
ジュール・ブロック『ジプシー』（白水社、文庫クセジュ、1973年）
フィリス・ベントリー『ブロンテ姉妹とその世界』（PARCO出版局、1976年、新潮文庫、1996年）
F・M・クロフォード『プラハの妖術師』（国書刊行会、ゴシック叢書、1979年）
ジュディス・オークリー『旅するジプシーの人類学』（晶文社、1986年）
* チャールズ・G・リーランド『ジプシーの魔術と占い』（国文社、アウロラ叢書、1986年）

木内信敬の業績は、アメリカ文学研究だけでなく、日本における少数民族研究の発展にも大きく貢献しました。彼の研究に対する情熱と学問への真摯な姿勢は、後進の研究者たちに大きな影響を与え続けています。

もう一度検索