木村半兵衛 (4代)

木村半兵衛（4代）

木村半兵衛（4代、1857年1月18日 - 1934年9月12日）は、明治時代に活躍した実業家であり、政治家です。衆議院議員、栃木県会議長などの要職を歴任しました。幼名は勇三。

生い立ちと家業

下野国足利郡小俣村（現在の栃木県足利市坂西地区）で、豪商である3代木村半兵衛の長男として誕生しました。幼少期から学問に励み、小俣学校で川上広樹から漢籍や政経学を、詩人の高林五峯から漢詩を学びました。1886年（明治19年）に父が亡くなったため家督を相続し、4代半兵衛を襲名。織物買継商を営み、その手腕を発揮しました。

地域経済への貢献

木村半兵衛は、地域経済の発展に大きく貢献しました。1875年（明治8年）頃には、物産改良と啓蒙活動を目的に弘業談話会を設立し、田口卯吉らを招いた講演会を開催。1882年（明治15年）には足利工商会の設立を実現しました。また、足利地域を中心とした織物業の発展に尽力し、粗製乱造防止にも取り組みました。足利機業組合頭取、東洋柞蚕社長、日本燐礦常務取締役などの要職を歴任し、両毛鉄道の敷設にも尽力しました。

新聞事業への関与

1881年（明治14年）には、旭香社を設立し、県内3番目、足利初の新聞『叢鳴珍談』を創刊しました。その後、『足利新報』と改題し、さらに『栃木新聞』との合併を経て、県内初の日刊紙である『下野新聞』へと発展させました。新聞を通じて地域社会に情報を提供し、啓蒙活動にも力を注ぎました。

政治家としての活動

1888年（明治21年）には栃木県会議員に初当選し、6期にわたり県政に携わりました。県会議員、参事会員、副議長、議長を歴任。県会では足尾鉱毒問題について田中正造と対立しました。その他、足利学校遺跡保護委員、勧業諮問会員、教育諮問会員、地方衛生会員、農林会員、足利郡会議員、同議長、地方森林会議員など、数多くの公職を務めました。

衆議院議員選挙には、第1回から第6回まで立候補しましたが、いずれも田中正造に敗れました。しかし、1902年（明治35年）の第7回衆議院議員総選挙で初当選し、その後も連続当選を果たし、衆議院議員として4期務めました。

失脚と晩年

1909年（明治42年）、日本製糖汚職事件に関与したとして検挙され、有罪判決を受けました。これにより衆議院議員を辞職し、勲四等も剥奪されるという不名誉な結果となりました。その後、公職から退き、1934年（昭和9年）9月12日に生涯を閉じました。

家族

長女は阿由葉サダ（阿由葉勝作の妻）です。

伝記

宇賀神利夫によって『木村半兵衛伝』が執筆されており、新日本政治経済研究会から1974年に出版されています。

国政選挙歴

第1回衆議院議員総選挙（1890年7月）：次点落選
第2回衆議院議員総選挙（1892年2月）：次点落選
第3回衆議院議員総選挙（1894年3月）：次点落選
第4回衆議院議員総選挙（1894年9月）：次点落選
第5回衆議院議員総選挙（1898年3月）：次点落選
第6回衆議院議員総選挙（1898年8月）：次点落選
第7回衆議院議員総選挙（1902年8月）：当選
第8回衆議院議員総選挙（1903年3月）：当選
第9回衆議院議員総選挙（1904年3月）：当選
第10回衆議院議員総選挙（1908年5月）：当選

参考文献

田中重策篇『新撰衆議院議員列伝』日本現今人名辞典発行所、1903年。
人事興信所編『人事興信録 第4版』人事興信所、1915年。
『衆議院議員総選挙一覧 上巻』衆議院事務局、1915年。
衆議院事務局編『衆議院議員総選挙一覧 自第7回至第13回』衆議院事務局、1918年。
『総選挙衆議院議員略歴 第1回乃至第20回』衆議院事務局、1940年。
雨宮昭一「日糖事件 - 汚職事件と検察権の拡大」『日本政治裁判史録　明治・後』第一法規出版、1969年。
衆議院・参議院『議会制度百年史 - 衆議院議員名鑑』大蔵省印刷局、1990年。
『栃木県歴史人物事典』下野新聞社、1995年。
* 稲田雅洋『総選挙はこのようにして始まった：第一回衆議院議員選挙の真実』有志舎、2018年。

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