木次線

木次線：島根・広島を結ぶローカル線の旅

木次線は、島根県松江市の宍道駅から広島県庄原市の備後落合駅を結ぶ、全長81.9kmのJR西日本の鉄道路線です。かつては陰陽連絡路線として、急行「ちどり」などの優等列車が運行されていましたが、現在は普通列車のみが運行されています。

歴史

木次線の歴史は、1916年に開業した簸上鉄道に始まります。その後、国有化され、芸備線との接続により陰陽連絡路線としての役割を担うようになりました。しかし、山陽新幹線の開業やモータリゼーションの進展により、その役割は徐々に薄れていきました。

路線概要

木次線は、全線単線非電化のローカル線であり、25-30km/hの速度制限区間が多数存在します。2013年度の輸送密度は245人/日と、厳しい経営状況にあります。ラインカラーは山吹色（沿線の紅葉の色をイメージ）、路線記号はEです。

沿線風景

宍道駅を出発すると、列車はすぐに南下し、最初の峠を加茂中駅へと向かいます。木次駅からは久野川の渓谷に沿って進み、下久野トンネルを抜けます。出雲三成駅からは斐伊川を遡り、亀嵩駅を経由して出雲横田駅へと向かいます。八川駅を過ぎると、勾配は30‰に達し、出雲坂根駅からは2段式スイッチバックで中国山地を越えます。三井野原駅を過ぎると広島県に入り、西城川に沿って備後落合駅へと到着します。

運行形態

現在は普通列車のみが運行されており、全線通しの列車は1日2往復のみです。出雲横田駅 - 備後落合駅間を走行する定期列車は1日3往復と、非常に少ない運行本数となっています。木次駅や出雲横田駅では、行き違いのために長時間停車する列車もあり、全線通しには2時間半から3時間程度かかります。

豪雨・豪雪による運休

木次線は山岳路線であるため、豪雨や豪雪による運休が頻繁に発生します。特に、出雲横田駅 - 備後落合駅間では、冬期に長期運休となることが多く、代行輸送が行われることもあります。この区間は急峻な地形に加え積雪量が多いため、除雪による雪崩の危険があることが理由です。

奥出雲おろち号

1998年から2023年まで、木次線ではトロッコ列車「奥出雲おろち号」が運行されていました。沿線の美しい景色を眺めながら、ゆっくりと旅を楽しむことができましたが、車両の老朽化に伴い運行を終了しました。

あめつち

2024年4月からは、「奥出雲おろち号」の後継として観光列車「あめつち」が運行されています。ただし、車両性能の関係から出雲横田駅 - 備後落合駅間には乗り入れません。

使用車両

定期列車には、キハ120形気動車が使用されています。かつては木次鉄道部に所属していましたが、現在は後藤総合車両所出雲支所に所属しています。

今後の課題

木次線は、利用者の減少や施設の老朽化など、多くの課題を抱えています。JR西日本は、路線の活性化策を関係自治体と協議したいとしており、廃線も視野に入れた議論が進む可能性があります。しかし、沿線住民にとっては、木次線は生活に欠かせない交通手段です。今後、どのような形で木次線が存続していくのか、注目されます。

木次線は、厳しい状況に置かれていますが、沿線の美しい自然や歴史的な価値は、今も変わらず残っています。ぜひ一度、木次線に乗って、ゆっくりとしたローカル線の旅を楽しんでみてください。

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