奥出雲おろち号

奥出雲おろち号とは

奥出雲おろち号は、かつてJR西日本が木次線で運行していた臨時観光列車です。1998年から2023年まで、木次駅と備後落合駅の間を結び、沿線の豊かな自然を満喫できるトロッコ列車として人気を博しました。運行期間は主に4月から11月で、週末や祝日、ゴールデンウィーク、夏休み、紅葉シーズンなどに運行されました。

運行の概要

奥出雲おろち号は、木次線の利用促進を目的として運行を開始しました。運行当初から多くの観光客に利用され、2000年にはしまね景観賞を受賞するなど、その人気は確固たるものとなりました。2005年度には年間利用者数が過去最高の19,770人に達し、2007年には累計乗車数が10万人を突破しました。特に島根県外からの観光客に人気が高く、島根県を代表する観光資源として重要な役割を担っていました。

運行費用の一部は、2009年度から出雲の國・斐伊川サミットが負担していました。また、2011年にはマスコットキャラクターが決定するなど、地域を挙げての盛り上がりを見せました。

運行ルートとダイヤ

基本的には木次駅と備後落合駅の間を1往復運行していましたが、2010年からは日曜日を中心に、備後落合行きの列車が出雲市駅始発で延長運転されるようになりました。ダイヤは、往路が午前、復路が午後に設定されていました。以前は広島県側からのアクセスが不便だったため、夏休み期間中には「奥出雲だんだんおろち号」として、土曜日限定でもう1往復増便されていました（2007年・2008年は設定なし）。

停車駅は、出雲市駅、直江駅、荘原駅、宍道駅、加茂中駅、出雲大東駅、木次駅、日登駅、下久野駅、出雲八代駅、出雲三成駅、亀嵩駅、出雲横田駅、八川駅、出雲坂根駅、三井野原駅、油木駅、備後落合駅です。出雲市駅始発の列車は、直江駅で特急「スーパーまつかぜ」の通過待ちを行っていました。なお、南宍道駅、幡屋駅、南大東駅には停車しませんでした。

車両について

奥出雲おろち号は、DE10形またはDE15形ディーゼル機関車と12系客車2両で構成される3両編成で運行されていました。車体デザインは銀河鉄道をイメージしたもので、白・青・灰色を基調に星模様が散りばめられた独特の塗装が施されていました。

DE15 2558は、運行開始当初から専用機関車として使用されていました。客車と同様の専用塗装で、冬季は除雪列車としても使用されるため、ラッセルヘッドの取り付け部が残されていました。2021年度の運行終了後には廃車回送され、米子支社管内から姿を消しました。

DE10 1161は、2010年4月から専用機関車として使用されていました。こちらも客車と同じく専用塗装でした。

スハフ12 801は、スハフ12 3001を改造した控車で、2号車として編成の中間に連結されていました。冷暖房やトイレ、洗面台が完備されており、座席は簡易リクライニングシートでした。1号車の指定席番号で2号車の同じ座席を利用することができました。2007年から2009年までは、2号車にも乗客を乗せており、年間乗客数が2万人を超えていました。

スハフ13 801は、スハフ12 148を改造したトロッコ車両で、1号車として備後落合寄りの先頭に連結されていました。車掌室の一部を運転室に改造し、もう片側は展望スペースとしました。前面には前照灯、スカート、スノープラウが設置されていました。客室部分は窓のないオープン構造で、不燃化木材が使用され、一部の座席は外側を向いて設置されていました。照明はランプ風のものが採用されていました。後部の出入口は撤去されていました。

沿革

1998年4月25日：木次駅 - 備後落合駅間で臨時快速「奥出雲おろち号」の運転を開始。
2002年7月6日 - 8月25日：期間中の土日には、松江駅 - 木次駅間で延長運転を実施。
2004年7月25日 - 8月29日：期間中の日曜日に「奥出雲だんだんおろち号」を運行。
2004年11月15日 - 11月17日：「奥出雲おろち号」が芸備線の三次駅まで延長運転。
2005年4月3日：松江駅 - 木次駅間延長運転列車の停車駅に来待駅を追加。
2005年11月26日：広島駅に初めて乗り入れ。
2007年12月2日：団体列車として広島駅に乗り入れ。
2010年4月3日：片道延長運転の始発駅が出雲市駅に変更。
2023年11月23日：車両の老朽化により運行を終了。

運行終了とその後

奥出雲おろち号は、車両の老朽化のため2023年11月23日をもって運行を終了しました。長年親しまれてきたトロッコ列車の引退は、多くの鉄道ファンや地元住民から惜しまれました。しかし、その代替として、2024年4月7日から新たな観光列車「あめつち」が木次線に乗り入れることになり、その歴史は新たな形で引き継がれています。

その他

奥出雲おろち号の運行に合わせて、車内や長時間停車駅では、弁当や出雲そばなどの沿線の特産品が販売されていました。これらの特産品は、奥出雲の魅力を伝えるとともに、地域経済の活性化にも貢献しました。

参考文献

「JR西日本 木次線用トロッコ列車」『鉄道ファン』1998年7月号（通巻447号）、交友社

外部リンク

JRおでかけネット 観光列車の旅時間 鳥取・島根エリア - 西日本旅客鉄道
奥出雲おろち号【JR木次線トロッコ列車】 - 出雲國・斐伊川サミット
* [しまね観光ナビ 奥出雲おろち号でゆく絶景島根県観光連盟'>

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