本川町停留場

本川町停留場：歴史と現状

広島市中区本川町二丁目に位置する本川町停留場は、広島電鉄本線の主要停留場です。駅番号はM11。この停留場は、広島の街の歴史と深く関わっており、その変遷は広島電鉄の発展と、戦争、そして復興の軌跡を映し出しています。

開業と路線変更

1912年（大正元年）12月、広島電鉄本線の己斐延伸に伴い、「左官町停留場」として開業しました。当初の本線は、相生橋を渡り、現在の停留場付近で南に折れ、西国街道を横断、さらに西へ土橋方面へと向かう経路でした。この区間は道路が狭く、カーブも急だったため、運行の大きな障害となっていました。

1917年（大正6年）には横川線が左官町から三篠間で開業し、本川町停留場は本線と横川線が分岐する停留場となりました。しかし、1943年（昭和18年）に江波線が土橋から開通すると、運行効率改善のため、十日市町と土橋を直結する新路線の建設が進められました。

1944年（昭和19年）にはこの新路線が開通し、横川線経由で十日市町から土橋に至る経路が本線に組み込まれ、旧来の左官町から南下する路線は廃止されました。これにより、横川線との分岐点は十日市町に移りました。

戦災と復興

1945年（昭和20年）8月6日、広島への原子爆弾投下により、路面電車路線も大きな被害を受け、運行は休止されました。しかし、同年中に己斐方面から復旧工事が開始され、本線は運行を再開しました。

戦前の経路を踏襲して復旧された相生橋西詰から本川町、十日市町へ向かう区間では、相生橋方面と十日市町方面の線路が一直線ではなく、蛇行していました。このため、1956年（昭和31年）に軌道が移設され、直線化されました。1965年（昭和40年）4月1日には、左官町が本川町に改称されたことに伴い、停留場名も「本川町停留場」に改称されました。

停留場構造と運行系統

本川町停留場は、道路上にホームが設置された併用軌道です。低床式ホームは上下2面で、相対式に配置されています。線路の北側に広島駅方面の上りホーム、南側に広電西広島駅方面の下りホームがあります。

現在では、2号線、3号線、6号線、7号線、9号線、そして0号線が乗り入れています。

周辺環境

停留場周辺には、広島電鉄中央変電所をはじめ、広島市立本川小学校平和資料館などがあります。同資料館は、原爆で被災した旧校舎の一部と地下室を展示施設として活用し、平和教育の拠点となっています。その他、飲食店や宿泊施設なども点在しています。

歴史的意義

本川町停留場は、単なる交通の拠点というだけでなく、広島の歴史、特に戦災と復興、そして都市の発展を物語る重要な場所です。その歴史的背景と現在も続く活気ある街並みを体感できる、魅力的な停留場と言えるでしょう。

隣の停留場

広島電鉄本線
原爆ドーム前停留場 (M10)
十日市町停留場 (M12)

参考文献

長船友則『広電が走る街 今昔』JTBパブリッシング〈JTBキャンブックス〉、2005年。ISBN 4-533-05986-4。
* 『広島電鉄開業100年・創立70年史』広島電鉄、2012年。

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