本田親貞

本田親貞について

戦国時代から安土桃山時代、江戸時代初期にかけて、薩摩国島津氏の家臣として、同名を名乗る3名の本田親貞が存在しました。それぞれの親貞は、異なる家系と時代背景を持ち、それぞれに独自の活躍を見せました。

1人目の本田親貞

生没年: ? - 慶長元年5月23日（1596年6月18日）
通称: 弥六、右衛門左
官位: 下野守
入道名: 三省
父: 本田親尚
養嗣子: 本田親孝

この親貞は、本田親尚の次男として生まれましたが、兄が家督を継ぐに足りないと判断されたため、家督を相続しました。天文23年（1554年）の岩剣城攻めでは、初陣となる島津義久の太刀役を務め、その後の犬追物でも太刀役を勤めるなど、義久の側近として活躍しました。天正年間には大隅国吉田の地頭に任じられ、天正8年（1580年）には家老職を仰せ付かっています。

天正14年（1586年）の豊前国緒方城攻めや、翌年の根白坂の戦いにも従軍し、島津義久が豊臣秀吉に降伏した際には、自らも剃髪して三省と号し、義久と共に秀吉に謝罪しました。その際、秀吉から親尚へ10,000石を与えるとの朱印状が下賜されましたが、親貞は自身の禄高が相応であるとして、その恩賞を他の功労者に下賜するよう義久に申し入れています。その後、加世田の地頭を任じられ、また、義久の娘である亀寿が人質として京へ上る際には、自らの妻妾を伴いその供をしました。慶長元年に死去し、法名は「本立三省庵主」。加世田の本立院に葬られています。

2人目の本田親貞

生没年: 天文12年（1543年） - 慶長4年（1599年）
通称: 兵助、次郎左衛門尉
官位: 出雲守
父: 本田道伯
子: 本田親盛

この親貞は、文禄・慶長の役に従軍し、慶長4年（1599年）の庄内の乱にも参加しましたが、子の親盛と共に討ち死にしました。享年57。法名は「節岩道忠庵主」です。

3人目の本田親貞

生没年: 永禄6年（1563年） - 慶長13年9月29日（1608年11月6日）
通称: 権之介、助之丞
元の姓: 脇元
元の諱: 清常、清平
晩年の名: 親智
実父: 脇元清元
養父: 本田親歳
子: 本田親明

この親貞は、脇元清元の子として生まれましたが、本田親歳の子の治部が島津義久の命によって追放されたため、親歳の養子となりました。諸所の戦いで軍功を挙げ、関ヶ原の戦いの後には徳川氏との和平交渉の使者を務め、200石を賜りました。その後、唐船奉行を務めましたが、慶長13年に亡くなりました。享年46。法名は「明巌清円居士」です。

まとめ

本田親貞という同名の武将が3人存在したことは、当時の社会構造や武士の家系の複雑さを物語っています。それぞれの親貞は、異なる出自と生涯を持ちながらも、島津氏の家臣としてその時代を力強く生きました。彼らの功績は、現代にまで語り継がれるべき歴史の一部です。


参考文献
『本藩人物誌』 鹿児島県史料集（13）（鹿児島県史料刊行委員会）

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